「それではー、かんぱーい!」
 
 
聖夜さんの誕生日パーティー当日。
 
俺の店にはホストやホステス、どこぞの企業の社長まで来ている。
 
ほんとに人脈有りすぎるだろ、この人…
 


 
「平凡、お前飲んでねぇじゃねぇか。」
 
「いや、俺はこれでいいんで…」
 
「俺の誕生日なんだからぱーっといけよ。」
 
 
と言って俺の手の内の烏龍茶をシャンパンを取り替えた。
 
お酒弱いからあんま飲みたくないんだよな…。
 
 
 
シャンパンをちびちび飲みつつ、聖夜さんと会話をしていると
 
「聖夜ぁ!そんな平凡と話してないでこっちの相手してよお!」
 
 
と叫ぶ蝶果さんは聖夜さんに腕を絡めた。
 
美男美女、お似合いの二人。
とても絵になる。
 
 
そんな二人を見ていたくなくて、近くにあったブランデーを一息に飲み干した。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
「んー…」
 
何か暖かいものに包まれている感覚がして目が覚めた。
 
 
「頭痛ってぇ…」
 
 
鈍い頭の痛さにそういや昨日のみ過ぎて潰れたのかな、と思い、体を起こそうとするも、腰の辺りの何かに阻まれた。
 
 
「…んあ?起きたのか?」
 
唐突に後ろから声をかけられたので急いで振り向くと聖夜さんがいた。
しかも俺を抱き込むようにして寝ていたのだ。
 
 
「え?聖夜さん?なんで?」
 
「は?覚えてねえの?昨日酔い潰れたお前を俺が連れて帰ったの。」
 
「え、ここ聖夜さんの家なんですか?」
 
「そうだけど。」
 
寝起き独特の擦れた声の聖夜さん。いつもより格好良さが三割増しだ。
鼓動が早くなるのがありありとわかる。
 
 
「とりあえず、離してもらえませんか。」
 
「あ?何でだよ。」
 
「いやいやおかしいでしょ、この体勢。」
 
「別にいいじゃねぇか。」
 
俺が何と言い返そうとも離してくれない。
それに俺が聖夜さんと会話するために向かい合わせになったので距離が近くてドキドキする。
 
 
 
「そういや、昨日の事どこまで覚えてんの?」
 
「えーと…ブランデー飲んだとこまでです…」
 
「は?まじかよ…」
 
落胆した様子の聖夜さん。
訳がわからない。
 
 
「じゃ、俺に言った事も覚えねぇのか。」
 
「俺何言いました?」
 
「好き。」
 
「はい?」
 
「好き、って言ったんだよ、お前。」
 
 
血の気が引いた。
どうやら酔っ払った俺はやらかしてしまったみたいだ。
 
 
「は、はははっ。冗談キツいですよ聖夜さん。」
 
俺が言うと聖夜さんは眉間に皺を寄せ、俺の上に覆いかぶさってきた。
 
 
「…冗談じゃねぇよ。」
 
「え、」
 
「俺の事好きなんだろ?」
 
「ち、違いますよ…」
 
「目泳いでんぞ。認めちまえよ、好きなんだろ。」
 
 
 
 

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