俺様美形ホスト×平凡バーテン
 
 
 
 
 
 
 
 
 
「あ!待って!」
 
 
 
 
追いかけて、追いかけて。
たどり着いた先は、煌びやかな世界だった。
 
 
 
「お会計多いですよ!聖夜さん!」
 
「別にいい。お前がもらっとけ。」
 
「え、そんな…」
 
 
追いかけて、見つけたその人はホストだった。
それでも少しでも側に居たくて、俺もバーテンになった。
 
 
 
「マスター…、聖夜さんのどうしましょう…。」
 
「聖夜が君に、って言ったんでしょ?もらっときなよ。」
 
「はぁ、わかりました。」
 
 
マスターは多分、俺が聖夜さんの事を恋愛感情で好きだと言う事に気が付いている。
それを言わないのはマスターの優しさ。
 
 
だって、
 
 
「悪ぃ、忘れもんしたわ。」
 
「えぇー!聖夜早くしてよお!」
 
 
No.1ホストの聖夜さんには、この世界の女王、No.1ホステスの蝶果さんが居るのだから。
 
 
「これですね。どうぞ。」
 
「悪いな。」
 
「聖夜早くぅ!」
 
「わかってるって。じゃあな平凡!」
 
「ありがとうございました。」
 
 
 
報われない恋。
あの人にはあんなに綺麗で、可愛い人がいる。
 
ただでさえ煌びやかさが求められるこの世界で、平凡の俺は異邦人。
 
全てをわかった上で雇ってくれているマスターには頭が上がらない。
 
 
 
 
 
 
 
日が昇った頃、いつも家に帰る。
 
夜の仕事は普通の人と生活サイクルが真逆なのだ。
 
 
「疲れたー…」
 
重い体をベッドに沈ませ、意識を手放した。
 
 
昼過ぎに目覚めて、仕事に向かった。
 
 
今日も聖夜さん来るかな。
 
横に居れなくても、顔が見れるだけでいい。
話し、かけてくれるだけでいい。
 
 
 
 
 
 
「よぉ、平凡。ちゃんと働いてるか?」
 
「ちゃんとしてますよ。」
 
いつも来る度に言われる言葉に苦笑する。
 
 
「笑っても可愛くねぇなあ、平凡は。」

「それはそれは。すいませんね。」
 
 
聖夜さんはただの冗談のつもりだろうけど、俺には違う。
胸に、重い矢が刺さってるみたいで痛い。
 
 
「不貞腐れんなよ、平凡がもっと酷くなってんぞ。」
 
クスクスと愉快そうに笑う。
 
「じゃあ俺じゃなくて美形のマスターとお話になって下さいよ。蝶果さんみたいな彼女居るんですから彼女とか。」
 
「は?あいつは…」
 
と聖夜さんが何か言い掛けたがマスターに呼ばれたので、聞き取れなかった。
 
 
「すいません、もう一度お願いします。」
 
「いや、いい。そうだ、明後日俺の誕生日パーティーここでするからな。貸し切りで。」
 
「え?ほんとですか?マスター!聖夜さんが明後日貸し切りって言ってるんですけど…」
 
「言ってなかったっけ?」
 
「知りませんよ!」
 
 
ごめんねー、と笑いながら言うマスターにやってられないと溜め息を吐いた。
 
 
 
 
 

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