馬鹿故に(宮緑) | ナノ
 

鹿故に



※先に
嫉妬故に/愛故にをお読み下さい。



「何だこれ」

休日、俺は居間の掃除をしていた

何故かって未だに俺が引きちぎったネックレスが散らばっていたから

それを片付けるついでというか


まぁ、よく今日までこのままにしていたなぁと思う

きっと俺も緑間もこの事に触れたくなかったのだろう

あの日の事を思い出して何度も後悔する

あれから緑間が家を開ける日が多くなった

酷い時には1日中居ないこともあった

それに俺は何も言えなかった


言ったら今度は一生帰ってこない気がしたから



話は冒頭に戻って、俺は掃除をしていると包装されている小さな袋を見つけた

自分には見覚えが無く、きっと緑間のものだろうと思った

開けて良いものかと悩んだが中身が気になり俺はその袋を開けることにした

ここに落ちてるって事は本人も忘れているだろうから


そして中から出てきた物に驚く


「ネックレス・・・」


それも緑間があの日着けていた物だ

いったいどういうことか、そう思った瞬間あの日が走馬灯のように頭を巡る


「もしかして・・・」


俺はある答えに辿り着くといつの間にか動き出していた

間違えでも構わない


あの日緑間は何か言おうとしていた

きっとこの事だ


合っているのなら、俺は相当最低な事をしてしまった


謝りたい・・・――








ーーーーー・・・





夜遅く玄関が開く音がした

やっと緑間が帰ってきた様だ


「―・・・宮地先輩まだ起きてたんですか?」

緑間は驚いた様にそう問い掛けると何処か気まずそうにソファーに座った

俺はそれに近付く


そしてこちらを振り向くことの無い緑間を後ろから抱き締めた



「宮地、先輩・・・?」

「・・・ごめんな」


そう言うと俺は緑間の首にある物を回した


「これは・・・」


それはネックレスだった

俺が引きちぎった物と、まったく同じものを探して買ってきたのだ


「これ・・・本当は俺にくれるつもりだったんだろ?」

そう言いながら今日見つけたネックレスを緑間に見せる


緑間はそのネックレスを見て泣きそうになりながら頷いた


「あんなことして悪い」


言葉と一緒に口付けると縋る様に首に腕を回してきた

唇を離した時には緑間の瞳から涙が流れ落ちていた


「っ・・・俺も、ごめんなさい・・・俺、高尾の家に・・、」

「いい、解ってるから」


緑間が居ない日、高尾の家に行っている事は気が付いていた

緑間は悪くない

俺があんなことしなければこんなことにはならなかったのだから


「でも俺っ、」

「いいから・・・もう行かないって約束してくれれば・・それでいい」


抱き締めて慰める様に頭を撫でる

すると緑間は先程よりもたくさんの涙を流した


「俺の傍にいるって約束して」

「・・はい・・・っ」


強く、強く抱き締める

俺の泣き顔を見せないように



そして耳元で何度も「好きだ」と囁いた


何度も何度も



もう離さないと誓うように




一生近くに居たいと願うように――・・・。



end


(130930)



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