熱涙


「よかったです、降谷さんがいつもの降谷さんになって…」

「え、ちょっと風見泣かないでよ!?零もなんか言って?」

「……心配かけた」

こうして胃に穴が開くことを無事に避けた風見はいつもと変わらず右へ左へ駆け回り、忙しく仕事をしている。そういう私も組織についてまとめている書類の続きを始めた。
零は引き出しを見つめてニッコリ笑ってそっと閉じている。気になった私は彼の引き出しを遠慮なく開けて中身を確認した。二人で撮った写真がたくさん入っていてどれも笑っている。私と零は表向きは警察官ではないし、表立ったことこはできない。写真も取らない方が好ましく、できることなら人目を避けたほうがいい。それでも二人でいたということを形に残してしまいたいと思うのだ。まさか現像してるとは思わなかったが…

「外に持ち出さないでよ?」

「わかってる」

「…風見、例の資料コピーお願い」

「はい」

今日も今日とて公安警察は忙しい。その公安を後一年程で辞めるとは思わなかった、というのが私の言い分である。


  
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