感涙


俯く零の肩が少し震えている。私はそっと零を抱きしめた。忘れることができなかった大好きな零の匂い。どんなことをされても一緒にいたくて仕方なかった大好きな人の匂い。
零の腕がゆっくり私の背中に回され、まるで壊れ物を扱うように優しく優しく力が入った。
あんなに怒っていたけれど、結局はこうなってしまう。零もそうだけど私も大概お馬鹿さんだ。

「もう、泣くならはじめから私にすればいいのに」

「うん。好き、好き、好き…僕は名前が好き。他の女はいらない、名前だけがいてくれればいい」

「次ほかの女なんか見たら絶対許さないんだから……」

二人して泣いて、抱きしめて、キスをして、空いた時間を埋めるように過ごした。
料理を作るのも、テレビを観るのも、寝るときですらぴったりくっついて離れない甘えん坊な零が可愛くてその日はたくさんくっついた。え、なに?別にやましくなんかないよ?


  
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