さらさらと心地良い風が、原っぱの草花と小さな俺達を優しく撫でていく。





「キオノーっ」


野原の中に埋もれるようにして寝転んでいたキオノに走り寄る。



「どーしたの、アスベル?」



体を起こして首を傾げるキオノ。手の中にあるその感触。これは喜ぶはずだからな。どんな顔するかな?楽しみで笑ってしまう。



「これやるよ!」



言うと同時に差し出す、小さな幸福。



「わぁ!よつばのクローバーだぁ!」



それを受け取ったキオノはぱっと笑顔を咲かせた。




「ほんとにもらっていいの?」

「おぅ、みんなにはナイショだからな!」

「うんっ!ありがとーアスベル!!」



そう言うと、キオノは自分の周りにあるクローバーをキョロキョロと見回した。




「っはは、そんなかんたんにはみつかんねーよ」

「うーん……そうだよね…
……ねぇアスベル、これどこでみつけたの?」

「あっちののはらだけど………なんだよ、まだほしいのか?」

「ううん。そうじゃなくて」



キオノはふるふると首を横に振ると、とびっきりの笑顔で言った。



「アスベルにもあげたいの!」



可愛い笑顔と言葉に、かぁ、と俺の顔が赤くなったのを、野原へと元気に走り出す少女は知らなかっただろう。







快晴の今日は空が真っ青で、手を伸ばしたら吸い込まれそうだった。

キオノは帰る直前までよつばのクローバーを探し続けていたが、結局見つからなかったようだ。




「あのね、アスベル」



振り向くとキオノは俯いていて、その表情はあまり明るいものには見えなかった。

よつばが見つからなかったのが悲しかったのかな…?



「まぁきにすんなよ、おれもたまたまみつけただけだし……それに」


ちらとキオノを見ると、大きな丸い瞳が、一つ瞬きをした。


「キオノのきもちが、すごくうれしいから」


ちょっと恥ずかしいけど、キオノのそんな顔見たくないし、俺の素直な気持ちだった。



「……うれしい?ほんと?」

「お、おぅ!」

「そっか、よかった!」


にっこり笑顔に戻ったキオノは、やっぱりかわいいなぁ、なんて思った。



「でもねアスベル、わたしクローバーみつけたんだよ」


差し出すその手には、一つ足りない小さな幸せ。




「みつば…?」

「うん、でも、よつばだよ」

「…………?」



キオノの言ってる意味がわかんなくて、俺はきょとんとした。



「いちまいはみえないけど、あるんだよ。
わたしが、アスベルのことをだいすきなきもちでできてるから、みえないんだよ!」



えへへ、と照れ臭そうに頬を染めてはにかむキオノ。

風にそよぐ三つの葉の隣に、キオノのつくったハートが見えたきがして、俺も照れてしまった。


受け取った俺の手には、確かなよつばのクローバー。


喜んでくれなかったらどうしようか、とキオノはそこが不安だったらしい。





「キオノ、おれがあげたヤツかして」

「?、うん」



渡された四枚の葉。

そっとキオノの左手をとって、それを薬指に巻き付けると、クローバーの指輪の完成。


なんかこれには俺の気持ちがこもってないみたいで嫌だったし、これよりずっと嬉しいプレゼントをくれたキオノへのお礼のつもり。


この指はとっても大切なんだって、母さんに聞いた。
俺はどうしてかまでは知らなかったけど、キオノが凄く喜んでくれたから、まぁいっか。








帰り道、
繋いだ手、揺れるハート。





(……ねぇ、アスベル、これってさ…)(ん?、なんかいったか?)(や…やっぱりいいっ!!)









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ショタベル(←)が捏造過ぎで本当にごめんなさい_o/L

因みに、元ネタは某カロイド(←)のとある歌です。



………続くかも。




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