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安威くんに頼まれて役の取り合いをし、最終的に決まった次の日。
久しぶりの休日です。
課題なんて最初に片付けた。最近のツボにハマった漫画は一通り読み終えた。特にしたいことはない。
「役の練習でもしようかな…」
自宅の天井を見ながら呟いた。と、同時に腹の虫が騒いだ。
なんだかそれに気がつくと、より腹が減る。
勿論、ぼくん家の冷蔵庫に作り置きのものなんてないし買い置きしておいたものとかもない。何もないわけじゃないけどレタスとピーマンだけで作れるレシピをぼくは知らない。
結論
「買い物行こう。」
カバンと財布となんとなく台本を持ってぼくは出かけることにした。
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「よう」
「あ」
風紀委員長、もとい。雲仙冥利くんにあった。
相変わらずちっさい。
「……久しぶりだね。いつ振りかな?」
「大体二ヶ月ぶりくらいだ。あと、何だその最初の間は」
「いやぁ。ただ少しだけなんて呼ぼうか迷っただけだよ。」
「へー?」
疑わしそうな目で下から見上げる冥利くん。
大丈夫、本当になんて呼ぼうか迷っただけだから。ちょっと忘れてたとかそういうんじゃないから。忘れてないよ?うん。
「それで、何て呼ぶことにしたんだ?」
「無難に冥利くんかな。それがいやならみーたんだ。」
「みーたんっつたら顔面にスーパーボールだぜ」
冥利くんはまたどこから出したのか本当にわからない大量のスーパーボールを両手に持ちながら言った。
口元しか笑ってない。
「冥利くんはぼくのことなんて呼ぶんだい?」
「無難に伊井だな。それがいやならいーたんだ。」
「どっちでも構わないけど?」
「なんだ。つまんねーの」
表情を少したりとも変えないで言ったぼくを見て、本当につまらなさそうな表情を浮かべ、やはり、どこから出したのか分からない大量のスーパーボールをしまった。
やり返せなくて残念そうだ。でも、まぁ、ぼくはちゃん付けもたん付けもされてるから今更ダメージなんてものは存在してないんだけどね。
「ところで、冥利くんは休日にどうしてこんな所に居るんだい?お使いでも頼まれたの?」
「ちげーよ!手前は俺を何歳だと思ってんだ!」
怒られた。
どうやら子供扱いが嫌いなようだ。
せっかく可愛いのになー。
「ただ腹減ったけど家になにか食べたいと思えるものが何もなかったら買いに来たんだっつーの。」
「へぇ、奇遇だね。ぼくも同じようなもんだよ。冷蔵庫の中身が寂しくってね。やらないといけない事もあるけど腹が減りすぎてやる気もおきないから出かけたんだ。」
「そうかよ。あ、そうだ。お前のやりたいことってなんなんだよ?食いながら出いいから教えろよ」
「あれ?冥利くんってもうご飯食べたの?」
「んあ?ちげーよ、お前と一緒に食うに決まってんだろ?」
「え」
いつのまにそんな流れに…
「俺はてっきりお前が「奇遇」だといった時からそうなんだと思ってたんだがな。
嫌か?」
生意気そうな眼差しのままぼくの服を掴まないでほしい。切実に
台詞が男前過ぎて格好いいのに行動が可愛過ぎるのは反則だろう。ちくしょう、可愛い…
これは『はい』か『yes』で答えろって言ってるようなものじゃないか。
と、いう訳で。ぼくの返事は
「勿論。嫌なわけないじゃないか」
と、言わざるおえなかったのだ。
そういう事でぼくは冥利くんと朝ごはん兼昼ごはんをご一緒したのだった。
マックでいっか。
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