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「零崎、ここは公平にじゃんけんで決めようじゃないか」
「後だしはなしか?」
「出来るだけ無しだ。」
「できるだけかよ!」
「それじゃいくぞ?」
「あぁ」
律儀にツッコンでくれる土川くんを無視してぼくは右手を、零崎は左手を引っ込めた。
「「じゃんけんっ」」
ぼくは意を決して手を出した。
そして、
戦慄、
「!」
「!?」
「っっ!!」
「っっっ!!!!!」
「や、あいこならさっさと次の出せよ」
柄羽田くんは疲れたような表情でぼくらを見た。
そう。ぼくはパー。零崎もパー。あいこである。
「まぁ、たしかにあいこだったけどもさ。江戸時代から始まった日本伝統のじゃんけんをこうも真剣にやってる高校生たちの一手一手の大切さを分かってよ。ねぇ?」
「今時じゃんけんを真剣にやってる奴らなんてこの学校じゃ俺らくらいだろうな。」
「ぼくらは何でこんな真剣にじゃんけんしてるんだったっけ?」
「確か安宅が究極の選択を俺らに迫ってきたからだ。なぁ?」
「えと・・・」
ぼくらの会話のキャッチボールを他人事のように聞いていた穴等くんはイキナリ過ぎる事に狼狽え始めた。
そういえば酒井くんは何の役なんだろうか・・・?
「そういえば榊君って何の役なの?」
「そういえば聞いてなかったな。」
「俺の役?あぁ、俺の役はーーー」
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