「……………」
………恭介、じゃん……。
え、なにしてんの。
「ちっ」
誰も言葉を発しないでいると、恭介の舌打ちが聞こえてきた。
「で?」
思わず体が強張る。
決して見られて良い光景ではない。
「………あ、あー、真山ね。今お楽しみ中なんだけどさ、な?」
「うん、そうそう!真山も、混ざる?」
男たちに向けていた視線を、俺へと向ける。自然と目が合い、恭介は、顔をしかめた。
( あ、やば……泣きそ…… )
ぱっ、と顔を背ける。しかし男たちが余計なことを口にする。
「あ、そういや真山と木崎クンてセフレじゃないっけ」
「え?そうだっけ?」
「んじゃ木崎クン開発したのって真山?」
「すげーな、木崎クンすっげー良いよな」
「独り占めとか羨ましいんだけど」
( やめろ、 )
「やっぱ真山が木崎クン淫乱にしたの?」
( やめろやめろやめろやめろ! )
「…………………」
「なんとか言えよー」
「出し惜しみすんなって〜」
「なんかそれ違くね?」
「えー?」
「………あー」
恭介がようやく口を開いた。
「とりあえず、なんだ。それ返せ」
( は? )
「あ?」
その場にいた全員がわけがわからなかっただろう。恭介の様子を窺いたいが、怖くて見れない。
「いや、意味わかんないしっ」
「今からいいとこなのにさー」
「………はぁ。―――どけ」
「なっ、うわっ」
急に体が浮く。
「えっ、」
「行くぞ」
「ちょ、な、はあ?」
俺は恭介に横抱きにされ、上から恭介のワイシャツをかけられ教室から連れ出された。
恭介は中にTシャツ着る派なんだ、なんて現実逃避を試みるも、すぐ近くに恭介の顔があって、現実へと連れ戻される。
恭介、お前、何がしたいんだよ。
期待したい。でも、怖い。
恭介は今、何考えてんの?
分からない…………
こんなに好きなのに
恭介のことが
全然分からない…………
――――バタン
あれから恭介は一言も話すこともなく、恭介の部屋へと俺を抱えたままやってきた。
「………………」
「………………」
一瞬、恭介が俺を抱えたとき、思い出してくれたんじゃないかって思った。でも今の恭介の顔を見ればわかる。恭介は自分でもなんでこんな行動をしたのかわからないって顔してる。
今はそれで十分。
これからも、思い出してくれなくても俺は………。
恭介は寮の自室に入った後、さらに寝室へと進んで行く。
「きょ、すけ」
俺が呼ぶと目線だけこちらによこす。
「あの、ありがと……もう、平気だから……」
だから降ろして、と言おうとしたらその前に体が降ろされた。
恭介のベッドの上に。
「………え?」
ぎし、と乗り上げてくる恭介。
「途中だったろ、抜いてやる」
「ちょ、ま」
「待たねぇ」
熱っぽい瞳が、俺を捉えて離さない――………。
「んっ、ああっ、そ、こはっ」
「いい、んだろ」
「ふっ、んうッ、あっ、ンッ」
恭介の手が、俺を追い詰める。
「 きょ、すけ、恭介っ」
「ああ、俺だ、」
「んっ、きょ、ふっ」
恭介の舌が、俺の舌と絡まる。
それと同時に俺は達した。
「ふっ、んうっ、」
「――――………ケ、」
俺の意識はそこで途絶えた。