「学校………」

目が覚めて、ぽつりと呟く。
それは誰にも届くことなく、ただ、消えた。
行きたくない。
だるい、めんどくさい。
それに、会いたくない人がいる。
こんなとき、簡単にさぼろうと思える性格が良かったとつくづく思う。でも今更そんなことを考えても仕方がないので、軽く朝食を食べて部屋を出る。

「………………」

教室までの道はこんなに長かったっけ。廊下ってこんなに暗かったっけ。校舎ってこんなに圧迫感あったっけ。
ひとつの歯車が狂うと、全てが狂ってしまったように思える。そんなことあるわけないのに。俺のこの悩みってのは、周りはわからなくて、だから周りはいつも通り流れていく。
いつもより重く感じる教室の扉を開ける。

「ケイ!」

俺の元へと駆け寄って来たのは壮一だった。

「そ、いち」

「良かった、ちゃんと来た」

「………うん」

「ケイ、」

一瞬、壮一の纏う空気が変わった、気がした。

( ………気のせい? )

「なに」

「今日、昼休み暇?」

「え?」

「お願い。話したい。だめ?」

「いいよ………」

あまりにも壮一の目が必死で、断れなかった。壮一の目の奥に、狂気がちらついていたのに気づいていながら。
それでも『良かったぁ』と安心したように笑う壮一の顔に、気のせいだったのかも、って思ってしまうのは、俺がおかしいのだろうか。

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