朝、ケイの部屋に行ったら鍵が掛かってた。今まで鍵が掛かってたことなんてなかったのに………。
悔しい。
なんでこんなに大好きなのにケイは俺のものになってくれないの?
なのにあいつは。真山恭介は。

「ねぇ、ケイもらうよ」

「は?」

「あんたが捨てたケイを俺が拾ってドロドロに可愛がって俺無しじゃあ生きていけなくなるまで可愛がってあげるって言ってんの」

「は、俺のおさがりでよければどーぞ」

その瞬間、おれはこいつを殴っていた。
俺以外の奴が、こんな奴がケイの中にいるのが、たまらなく許せなかった。



「で、なんで殴った」

「……………」

あの後、殴り返してきた真山に俺も殴り返して殴り合いの喧嘩を教室のど真ん中でした。水原とかいう奴が止めなけりゃ、どっちかが死んでたと思う。

そして今は生徒指導室で説教中。担任は2人になれないとかいう理由で俺と真山、2人一緒にだ。こんな狭い空間でこいつの吐いた息吸うとか、俺に死ねっていってんの?

「……………はぁ。平岡、お前なんで殴ったかって聞いてんの」

「こいつが……………」

「うん。真山が?」

「……………むかついたから」

「ガキかっ!小学生じゃねぇんだから…………」

「……………」

「……真山、なんで殴り返した」

「むかついたから」

「お前ら……………」

「……………」

「実は仲良しか」

「はぁ?」

「まぁ大体予想はできるけどな」

「……………」

「木崎関連だろ」

「っ」

担任の言葉に真山が眉をひそめるのがわかった。

「ああ、ケイ、ケイ、って言ってて苗字忘れたか。お前べったりだもんなぁ」

「せんせ、」

「まあ最近は平岡にとられたみたいだけどな」

ガンっとテーブルを殴る真山。先生はそれでも顔色一つ変えない。

「だから、別にあいつは俺のもんじゃねーし俺はあいつのもんじゃねえよ」

それを聞いて先生はため息をひとつついた。

「あのな、お前らが、勝手すんのは良いさ。ただ俺を巻き込むな」

「……………」

「いつまでも、蓋なんかしてらんねーよ、人間。本当に大切なもんを見失うなよ」

「……………」

「わかったら戻れ。殴り合いすんなら外でしろ。クラスメートにまで迷惑かけやがって。謝れよ、ちゃんと」

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