「ケイ、」
「………壮一?」
「ケイ!どうしたの?具合悪いの?どっか痛いの?ねぇ、大丈夫?」
「………壮一………学校………」
「そんなの、ケイが心配で学校どころじゃないよ!教室に戻ってみたらケイいないし!本当に心臓止まるかと思った」
「………壮一」
「なに?」
「壮一は俺が好き?」
「今更!好きだよ!大好き!愛してるなんて言葉じゃ足りない!」
「……なんで?わからない。会ったばっかで、なんで、なんで来たの………なんで転校なんか、そうすれば俺と恭介はっ」
「………ケイどうしたの?あいつに何か言われたの。時間なんか関係ない。全部が好きなんだよ。ケイ、ケイのことをなんとも思ってない奴のことなんか忘れなよ」
「なんで?なんで、なんで恭介は俺を拒否んだよ!なんで?俺のことだけ………俺ばっかり恭介のこと………恭介は俺が嫌いだった?嫌いなのにセックスしたの?俺を笑ってたの?でもそれでも!俺は!俺はそれでも恭介のことが」
狂ったように叫ぶ俺をきつく抱きしめる壮一。
「ケイっ!」
「そ、いち……苦し……」
「ケイっ!ケイ、もういいよ、もう、いい。ねぇ、なんで?俺がいるのに……」
「苦し……いた、い」
「俺がいるのに……!俺じゃダメ?足りない?何が違う?ねぇ、俺こんなに……こんなにこんなにこんなに大好きなのに!優しくしてるじゃん!ずっと一緒にいるでしょ!まだ足りない?伝わらないのはなんで?いっつも恭介恭介恭介恭介恭介!隣にいるのは俺なのにっ」
「壮一………」
ようやく抱きしめていた腕を緩めた。
「ごめん…………痛かったね…………」
「壮一………ごめん…………」
「いいよ、俺は」
「違う。もう、無理だ…………」
「…………ケイ、」
「壮一は、」
「ケイ、嫌だ!聞きたくない」
「壮一は恭介じゃ、ない………」
「…………っ」
「ごめん、壮一」
「ケイ、嫌だ…………」
「ごめん、帰って」
「…………」
「帰って」
わかった、と小さく呟き、しばらくしてドアが閉まる音がした。
俺はずるずると、けじめをつけないまま、壮一と恭介を重ねていた………。
夜が明けて、それでも眠れなくて。今日は休もうと思った。今日だけ休んだら、明日と明後日は無条件に休める土日だから。
のそり、と立ち上がら玄関に向かう。いつぶりだろう。鍵を掛けるのは。鍵を掛けたら、誰も入ってこない。誰も、いなくなる。
―――カチャリ。
これでいい。これでもう。
再びベッドへと潜り、眠ろうとする。でも眠い体とら裏腹に頭はガンガンに冴え渡る。
一度、ガチャガチャとドアノブを回す音がしたが、それも止み、静寂が訪れた。
( 俺、なにしてんだろ……… )
何も考えたくなくて、ムリヤリ目を閉じた。