とある終焉-メローネ(request)
「………ごめん」

 nameは、俺に背を向けてメローネの胸に戻った。
 その揺れる肩を見て、どうしたら良いのかわからなくなる。
 ゆっくりと差し伸べていた手をおろし、ホワイトアルバムも解除する。
「……name」
「ごめんなさい……」
 気まずい雰囲気が、俺たちを包み込む。ただその中で、メローネだけは笑顔だった。
 その、気色悪い笑顔を一発ぶん殴ってやりたい。
 けれど、その気力はどこからも湧いてこない。
「……あーあ、振られちゃったなぁギアッチョ」
「………るせぇ」
 いかにも楽しそうな声音で、俺を馬鹿にしてくるメローネ。怒鳴る気力もない。
 メローネは泣いているnameに顔を上げさせ、目じりからこぼれる涙を舌で掬い取る。
 そしてそのまま、舌を唇に這わせ、ねっとりとキスをした。
 その光景を見て、俺は眉根を寄せるしかない。ただ、どす黒い不快感だけが、心に残る。
「んっ……や…メローネ……!」
 nameがメローネを押しのけ、ようやくキスが終わる。
 一瞬だけ、nameと目があった。…どちらが先に、目を逸らしたのかはわからない。
 メローネは楽しそうに、あごに伝った唾液をぬぐっている。
「……さっさと帰れよ、てめーら」
「言われなくても帰るさ。はい、name。ヘルメット」
 nameにヘルメットを手渡して、nameの腰に手を回しながらメローネはバイクに向かって歩き出す。
 ……俺も部屋に戻ろう。
「あっ、ギアッチョ」
 ドアノブに手をかけたとき、メローネの能天気な声に呼び止められる。
 振り返りたくないが、反射で振り返ってしまった。
「いつでも“貸して”あげるよ」
「………」
 ガンッ。
 ドアを蹴りあけ、俺は部屋に入る。
 鍵をかけて、そのまま玄関に座り込んだ。
「クソっ………」
 こんな思いをしても。
「……諦めれねぇ……」
 俺はnameのことを諦められない。


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