とある終焉-ギアッチョ(request)
「ごめん……」

 nameが、俺のそばから離れていく。
 そして、ギアッチョの手を取り、その腕に抱きとめられる。
 その瞬間、周りの空気が一気に常温に戻った。
「……ごめんね、メローネ」
 nameが悲しげな、罪悪感に塗れた顔で、俺を見てくる。
 ……謝られても、なぁ。
 不思議と腹立たしいだとか、悲しいだとか、そういう感情は湧いてこなかった。
 謝るのは俺の方なんだろうな、と思う。
「……気にすんなよ、name」
 ヘラッ、と笑ってギアッチョを見る。
 相変わらず、俺を睨みつけたままだ。
 ……ギアッチョなら、確かにnameのことを幸せにできるのかも、しれないな。
 でも。
「でも」
「……?」
「俺はnameのこと、諦める気はねーぜ?」
 ただ今は、少しだけ離れるだけで。
 俺は、俺の幸福のために、nameを手に入れるんだ。
 nameが俺といて幸せかどうかなど、知らない。
「……嫌な奴だな、アンタはよぉ」
 ギアッチョが、不快そうに顔をゆがめながら、そう呟く。
「知ってるよ、ギアッチョ」
 俺は、嫌な奴だ。
 全ては好きな人の、悲しみに歪んだ顔を見たいがために。

(嗚呼、ゾクゾクする)

 ここまで計画がうまく行くと、笑い出したくなる。
 二人はこのあと、もっと悲しみや怒りに顔を歪めることになる。

 だからその時のために。

「じゃあ俺は帰るぜ」

 今は二人の幸せを祈っておこう。



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