Black valkria




「夢じゃ、ないんだよね。私が見ていたのは実際に起こった事なんだよね…」


いや、見ていたんじゃない。私は前世の記憶をもう一度、体験していたんだ。
そりゃボバサも過酷だと言うよな、自分が死ぬ場面を体験するなんてさ。


「お前が体験した記憶は三千年前に起こった事とは少し違う。今いるここは記憶の世界。
三千年前と同じ結末を辿るハズだったが、ファラオとお前が現世で出来た遊戯達と言う新たな仲間を取り込んだ事によりシナリオが多少変化した」


まるでこれも一種のゲームみたいなものだと言う様な口調でバクラ君は淡々と言う。


「まぁ、どっちにしろお前は死ぬはずだったんだ。今回はそれがほんの少し早まっただけだ」


「えぇ…?私どっちにしても死んじゃうの」


それはちょっと悲しいな…。
私に落ち込むなよと珍しくバクラ君が励ます様な事を言うが、


「……君励ます気、ないでしょう」


表情が全然人を励ます態度じゃない。にたにたと笑っている。
不思議だね、"君"と"私"はさっきまで殺し合いをしていたのに。こんな風に力無く笑いながら話してるなんてね。





「ギャアアアアー!」





「あ、城之内君の声だ」


静寂を裂く様な悲鳴。
やっぱり、城之内君もこのお化け屋敷みたいな雰囲気に堪らず悲鳴を…。
悲鳴はごく近くから聞こえた。やっぱり、皆もここにいるのか。


「…やっと来たか」


「バクラ君?」


「さぁ、遊戯達を出迎えてやろうぜ」


すると、バクラ君は急に極悪人顔の様な笑みを浮かべる。
その豹変に少し驚いていると、どこから出したのか、手品師も吃驚なロープで瞬く間に私を縛り上げてしまった。


「へ、ちょ…!何で私を縛るの!?」


しかも、漫画みたいなグルグル巻きってさ!


「今お前に動き回られると話がややこしくなるからな。しばらく大人しく縛られてろ」


お前を自由にさせとくのは危険だからな。今度はモンスター・ワールドの時の様にはいかないぜ。


「いでででー!分かった分かったから、引き摺んないでよっ」


何この芋虫プレイ!大人ししてるから、ロープ解いてくれ!


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