「ここに集まった決闘者の諸君!I²社が開催するイベントにようこそ」
船の上がライトアップされたと思ったら、そこにペガサスの部下らしい黒スーツにサングラスをした屈強な男達がいた。
その中のリーダー格らしき男が我々デュエリスト達に向かって言う。
≪っ、猿渡!!あいつこんな所に≫
憎々し気にその男を睨むお姉さんは何だか相当怒っている様だ。
「君達はDMにおいて我々が、過去の戦績などを特別に調査し選び抜いた精鋭達だ!!
今、君達の頭上には誰もが平等に手に届く状態で栄光の星が光り輝いているのだ!さぁ、決闘者達よ!海を渡ろう!その光を求め…いざ!王国に行かん!」
≪ふん!随分陳腐な演説ね。まぁ、あの無いにひとしい頭から絞り出したんだから、それも当然よね≫
「あの人に対して随分辛辣ですね」
まぁ、確かにちょっと熱過ぎて引くけど。
ぬいぐるみから、不機嫌オーラを出している。触らぬ神に祟りなし、だ。
この場は触れずにおこう、そう思っていたら、真横から甲高い笑い声がした。
「アハハハハハハハ!まるで子供騙しの演説ね!ま、確かに周り、見渡しても子供ばっかりだけどさ!」
フフ、皆大した事なさそ。と女の私でも息を呑むグラマラスな金髪美女さんがいた。
「あんた…遊戯って坊やね!」
その人は遊戯君の顔を見てズイッと顔を近づけた。
「え…」
「ビックリ!こんなおチビちゃんが、あの海馬を倒したってんだものねー」
戸惑う遊戯君にウフフと色気たっぷり微笑みながら、そのふっくらとした頬を突付く美女。
羨ましがる城之内君達とは反対に杏子ちゃんは物凄い形相で相手の女を睨んでいた。
「な、何よこの女ぁ…!」
「あ、杏子ちゃん!落ち着いてっ!」
ほ、炎が見える…っ!?確かにあんまりいい気はしないけど……。
「ん?あら」
「え」
そう声を漏らす美女とばっちり目が合った。遊戯君と同様に彼女はまた、ズイッと私に顔を近づけた。
「あんた……結構、いい顔してるじゃない」
毎度毎度男に間違われているけど、私にそんな趣味は断じてない!!
私はストレートだ!女の子確かに可愛いと思うけど、そんな対象には……!
嫌、だからって男の子が大好きって訳でもないけど…あぁ、何言ってんだ私は!
「まぁ、まだまだ子供だけどね」
更に鼻と鼻が付きそうなくらい顔を近づけて言った。美女の甘い香水の香りが鼻をくすぐった。わ、良い匂い…
じゃねぇ!!「……どうも」
「とにかくデュエルでは相手が、おチビちゃんだろうが、誰だろうが…あたしの前に立ちはだかる男は容赦しない。――潰すわよ!」
キラキラ光るアイシャドウを塗った瞼。長くカールする睫毛から覗く瞳は鋭くて、強いデュエリスト特有のオーラを感じた。大口を叩くだけの人じゃあなさそうだ。
「あたしは孔雀舞!それじゃあ、お先にね。ボーヤ達!」
何とも素敵な宣戦布告をして孔雀さんは船に乗り込んでいった。
「スゲー女だ…」
「馬鹿ぁ!あんな女に鼻の下伸ばしちゃって!」
「やっぱり……胸、かな」
自分の無い胸に手を当て暫し考えた。そして新たな決意が生まれた。十九歳までにBカップ!十九までにせめてBカップ…!
それぞれの決意と不安を抱え、王国へと旅立った。
END
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