インターホンを鳴らすと、ややあってから、扉から、漠良君が顔を出した。
元々、白くて綺麗な肌だと、思っていたが今日は酷く青白くて、病的に見える。
「ハイ……」
「大丈夫?漠良君」
「鏡野君!遊戯君!皆…」
最初に私を見て、漠良君は驚きながら、目を見開いた。
「遊びに来たぜ!獏良!」
「一緒に『モンスター・ワールド』をやろうよ!!」
「(駄目だ!ここに来――)
ようこそ!皆が来てくれて嬉しいよ……さぁ、入ってよ」
「遠慮なく上がるぜ!」
「おじゃましまーす」
「お邪魔、します」
あれ?また獏良君の雰囲気が違う……ああ!腹黒いからか!
「先に奥の部屋に行っててくれないかな。僕はお茶の準備をするから」
「手伝うよ。獏良君」
シュークリームもあるしと、私は紙袋を掲げて、言った。
「……あぁ、ありがとう鏡野君」
二人っきりになった途端、獏良君の表情と態度は一変した。
「ククク!まさか、お前から、またのこのこと来るとは」
しかも、千年パズルの持ち主の遊戯まで連れてきてくれて。
「うん?ごめん。迷惑だったかな」
君の都合を考えないで急に遊びに来ちゃって。
「いいや!大歓迎さ。今日はとっておきのゲームを用意してるぜ!昨日の様には行かないからな」
昨日の屈辱を晴らしてやる!
「アハハハ、獏良君って見かけによらず、負けず嫌いなんだね」
まだ、根に持っているの!ところでお皿ってどこ?
「………」
やりずれぇ……。
「あ、シュークリーム買ってきたよ。好きでしょう?」
ほら、と紙袋から出す。美味しいって、評判のお店なんだって。生クリームとカスタードクリームが二層になって入っててね。
生地は何かどっかの県から取り寄せたとか言う材料で作ってるとか。とにかく、全部こだわりなんだって。
「うん、まぁ……宿主が」
もごもごと言う獏良君。何て言っているのか、聞き取りにくかったが、辛うじて聞き取れたのは、
「え?ヤド、カリ?………ヤドカリも好きなの?」
「獏良君って…変わってるね」
まぁ、食べれない事は無いと思うけど(一応、甲殻類のエビの仲間だし…?)……うん。食の好みは人それぞれだ。
「ば、違ぇよっ!!何だそのボケは!変わってるのはお前の頭ん中だ!」
何その哀れむ様な目付き!?引いてんじゃねぇよ!俺様が痛い奴みたいじゃねぇか!!
「え、違うの」
「ちげぇえええ!!」
「ごめん。多分聞き間違えた」
獏良君はどっちかって言うと、腹黒って言うか、ツッコミ属性なんだね。
END
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