Black valkria




「ひ、ひぎゃぁぁあーっ!?」


悲鳴を上げて後退り、扉に思いっきり、頭をぶつけた。うぉ、痛てぇ!!てか、今の全部聞かれてた!?
恥ずかしい奴だと、思われた!痛い奴だと、思われたかもー!?うああああ!どうしよう、どうしよう!!


「どうしたの、鏡野君」


「なななな!何でもない!ごめんね!邪魔だよね、今すぐ消えるから――」


ああぁ!内心邪魔だ!カス野郎!とか思ってたりして!ごめんなさい、ごめんなさい!今すぐ消えますんで許して下さい。





「ねぇ…それより、上がって行かない?お茶でも淹れるよ」


「へ…?」


「どうぞ」


獏良君の思いがけない言葉にぶつけた後頭部の痛みが一気に飛んだ。
ドアを開けて、自分を向かえてくれる獏良君。だけど、何かおかしい。


「え…あ、あの…じゃあ……お邪魔します」


何か雰囲気が違う……?
首を傾げつつも、いつまでもドアを開けて待っていてくれる漠良君に悪くて、お邪魔する事にした。










獏良君の部屋は引っ越してきたばかりなのにすっきり、片付いていた。
棚やガラスケースにはフィギュアやゲームが飾ってあった。本当にゲームが好きなんだな。


「僕、シュークリーム大好きなんだ」


「へ、へぇ!凄い偶然だねっ」


コーヒーカップを受け取り、しらじらしいと、自分でも思いながら、相槌を打った。
本当は千年お姉さんが何故だか、リサーチしてたんだけど…非常に心苦しい会話が続いた。


「偶然と言えば僕達は部屋も、隣同士だよね」


「え、うん。…獏良君は気付いてたの」


言ってから、甘いシュークリームをブラックコーヒーで流し込んだ。


「今、さっきね」




シュークリームを食べ終わり、一息付くと少し沈黙が続いた。
私が沈黙に耐え切れなくなった頃、獏良君はある提案をした。


「……ねぇ、鏡野君。一つゲームをしないかい」


「ゲーム……?」


どうして、いきなり…今日、僕とゲームをした人は皆昏睡状態になるって、悲しそうに言っていたのに…まさか!?
私は、アレか。遠まわしに目障りだと、言われているんだろうか。


「ゲームにはこの10面ダイスを使う」


そう言って、漠良君はポケットから、ダイスを取り出した。
10面ダイスなんてあったんだ。珍しい。漠良君、いつもダイスとか持ち歩いてるのかな。


「ルールは非常に簡単。僕が先にダイスを振り、君が僕より、小さい目を出したら、君の勝ちってゲーム」


簡単でしょう?と笑う獏良君。何だか、生き生きとして、楽しそうだ。


「そう、だね」


あぁ、そうか。実は獏良君って、腹黒いのか!





「でも、負けたら、罰ゲームを受けてもらうよ」


「どんな罰ゲームを?」


恥ずかしい罰ゲームはやだな。女子制服と着るとか、校庭でストリップとか…うえぇええ!考えただけでも恐ろしい…!


「負けたら、僕の思い通りになってもらうよ」


「………。一週間パシリとか?」


数秒、真剣に悩んで出た結果はパシリしかなかった。休み時間にパン買って来いとか、エロ本買って来いとか。
まぁ、それくらいなら、いいかな。うん、大丈夫だ!私にも出来そうだ。


「――う、うん。まぁ、そんな感じ」


微妙な顔で頷く漠良君。え?私おかしい事言った?



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