Black valkria




雲一つない青々とした空。天気予報でも、降水確率は20%と低く、まさに爽やかな朝。
ダイニングテーブルで向かい合いながら、私とおば…、千年お姉さんは朝食を食べていた。
朝食はお姉さんお手製のフレンチトーストは甘いけど、美味しいと思う。





「さぁ、行くわよ」


私より、少し早く食べ終わり、一息付いてから、お姉さんは「支度しなさい」と、そう言った。
私はまだ、口の中に入っているフレンチトーストをコーヒーと一緒に呑み込んで、どこへ?と聞く。すると、お姉さんに当たり前の様に一言、


「学校に決まってるじゃない」


紫乃は学生なんだから。





…聞いてません。





「あの、編入試験とか…まだ受けてないんですけど」


昨日、童実野町に来たばかりで、編入試験なんて受けていない。
それに急に家を飛び出して来たから、書類とかも、何も持っていないし。


「大丈夫、もう話はついているから。紫乃の前の学校の成績表を送り付けたら、学校側は編入試験受けなくても、大丈夫だろうって」


「お…おおお、送り付けたっ!?」


いや、まぁ、自慢じゃないが成績はそれなりに良かった方だけど!でも、それじゃあ、普通編入させてくれないよ。
大体、お姉さんはどこで私の成績表を手に入れたんだ。どうやって、話をつけたのか、突っ込みたい。
千年お姉さんって一体、何者なんだろう……それが一番怖くて聞けないけどね。










童実野高校。車の中でやっと、これから、通う高校の名前を教えてもらった。
聞き返せばそうよ、とお姉さんはハンドルを切りながら、小さく頷いた。
一人で行けると、言ったのだがお姉さんは送ると言って、私を車に押し込んだのだ。


「ここから、一番近い学校よ」


「へぇ……」


「それとね。今日、紫乃以外にも転校生が来てるらしいの」


友達になれるんじゃないの?
言いながら、お姉さんは笑う。笑っていれば本当に綺麗な人だ。笑っているだけならの、話だが。


「一体、どこから、そんな情報が流れてくるんですか」


お姉さん…一般人ですよね。変な秘密組織とかの人間じゃないですよね。
ふざけて、尋ねると、急にお姉さんの顔から、笑顔が消え失せた。


「この童実野町内で私が知らない事なんて、無いに等しいわ」


「マジですか!?」


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