Black valkria




イシズさんの言い掛けた言葉の先を考えながら、美術館から、出ると、外には人だかりが出来ていた。
刺す様な視線が一斉に飛んできた。視線を合わせれば爆発しそうな勢い。目を合わせない様に人だかりを分けて歩こうとした、





「紫乃!!」


聞き覚えのある声に呼ばれて、一瞬心臓が跳ねた。
振り向けばもう一人の遊戯君と杏子ちゃん、それに王国で出会った舞さんがいた。


「舞さんまで…どうしてここに」


「こっちの台詞だぜ!お前幼馴染に連れ回されたんだって?」


「あ、ぁ…うん。そう、なんだ」


大変だったな、病み上がりなのに。
彼の言葉で陸にぶつけた言葉が蘇り、再び胸に罪悪感が広がる。





「…どうかしたの?顔色が悪い様だけど」


「ちょっと、疲れちゃっただけだよ」


杏子ちゃん言われて、本当は泣きそうだけど無理に笑って、誤魔化した。
胸が苦しくて、息が詰まる。すると、急に周りがざわつき出した。





「あの男が今回の情報を流したって、もっぱらの噂よ」


途中から、やって来て何の話か分からない私はただ黙って、この状況を見守った。
皆の視線の先にいる人物は王国で出会った海馬君と弟のモクバ君だった。


「デュエリスト諸君、よく聞け。明後日、この街において――DMの大会を開催する!!」





「(ここに集まっている人は皆デュエリストだったのか)」





デュエリストの参加条件は二つ。レアカードを含めた40枚のデッキを用意する事。
そして、次世代デュエルディスクを所有する事。海馬君の腕に付いている機械。あれがデュエルディスクらしい。
デュエルは全て、アンティ・ルールを採用し、敗者は自分のデッキの中から、最もレア度の高いカードを勝者に渡すものとする。





「つまり、優勝者がより多くのレアカードを手に入れるのだ!」


「闘いの舞台はこの童実野町全域!!二日後――この街はバトル・シティと化す!!」


バトル・シティ…その名の通り、闘いの街。
まさか、イシズさんが言っていたこの街で始まろうとしている闘いとは…それは明後日に開催されるDMの大会…?
こんな早くに、始まろうとしてるのか。神のカードと王…もう一人の遊戯君の記憶を巡る闘いが。





END


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