Black valkria




「僕は永続魔法『ミディアンズ・コフィン』を発動します」


聖さんのマジック、トラップゾーンに不気味な棺が現れた。聖さんのフィールド…そこら辺のお化け屋敷より怖いな…。


「このカードがある限り、僕のターンのエンドフェイズ毎に墓地に存在するアンデットの数だけ、君はデッキの上からカードを墓地へ捨てなければなりません。ふふ、そう怯えた顔をしないで下さい」


「げぇ!」


「今、僕の墓地には『ピラミッド・タートル』、レディ、ヴァロンの3体のアンデットがいます」


早く、何とかしないと君のデッキが死んでしまいますよ。更に僕はカードを2枚伏せます。
そう薄く笑って聖さんはターンを終了した。そして私はデッキの上から3枚カードを墓地へ送った。




「私のターン。ドロー!マジックカード『強欲な壺』を発動!デッキから新たに2枚ドロー!」


「(このタイミングでそのカードを引きますか…)」


「……バトル!『七つの武器を持つハンター』で『ノーブル・ド・ノワール』を攻撃!」


生憎、引いたカードに召喚出来るモンスターカードは無かった。後もう一歩だ。ここは潰せるモンスターから潰していく!





「ノワール一人では寂しいでしょう。君のモンスターと共に逝ってもらいます。トラップ発動『砂塵の大竜巻』」


「!」


聖さんのトラップカードから一陣の風が巻き起こった。
やがてそれは竜巻となり、フィールド魔法の草原を取り除いた。


「これで『七つの武器を持つハンター』の攻撃力は1000ポイントアップしても、ノワールと同じ、2000!相打ちです!」


「そして永続トラップオープン。『ヴァンパイア・リボーン』!墓地からヴァンパイアと名の付くモンスター1体を選択し、特殊召喚します」


「まさか…!」


「そう…復活なさい!『ヴァンパイア・ロード』!!」


中央のモンスターゾーンから、黒い棺が現れ、中からヴァンパイア・ロードが華麗に復活した。


ヴァンパイア・ロード
[ATK/2000 DEF/1500]


「く…!なら、カードを2枚伏せ、ターンエンド!」


これでの私の手札は1枚だけ。





「僕のターン!」


伏せカードの伏せ方があからさまですね。これで…鏡野君の手札は僅か1枚。
ヴァロンのダイレクトアタックを警戒してブラフを張っているのか。
鏡野君のライフは1600。ヴァロンだけで十分です。


「ヴァロン!」


聖さんのその一声で、ヴァンパイア・ロードはマントを翻し、私へ迫る。
危機とした表情でそれを向かえた私はその攻撃が届く前に伏せカードを発動させた。


「トラップ発動『ヒーロー見参』!」


「ヒーロー…見参?」


「相手の攻撃宣言時に自分の手札から相手はランダムにカードを1枚選択し、選択したカードがモンスターカードだった場合……自分フィールドに特殊召喚する!」


「! 鏡野君の手札は1枚…!!」


苦し紛れを装い、ブラフを読んだ僕に攻撃させた。やられた――鏡野と言う人物は見掛けよりもずっと強かで厄介な人物の様だ。
運が良いだけのラッキーデュエリストなんかではない…。


強い、デュエリスト…!





「勿論、私の手札はモンスターカード!現れろ!竜破壊の剣士『バスター・ブレイダー』!」


ヴァンパイア・ロードの目の前にバスター・ブレイダーが立ちはだかった。
突然の騎士の登場にヴァンパイア・ロードは聖さんの指示を待つ為に動きを止めた。


バスター・ブレイダー
[ATK/2600 DEF/2300]





「面白いじゃありませんか…!」


「しかし、僕が噂で聞いていた君のエースは『バスター・ブレイダー』ではありませんでしたが…」


探る様な目で言われて「……今のエースです」曖昧に笑い返した。


「まぁ、いいでしょう。僕は戦闘を中止し、カードを1枚伏せてターンを終了します」


「そして『ミディアンズ・コフィン』の効果が発動されます。ヴァロンとノワールが入れ替わっただけなので、枚数に変わりません」


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