寂しがりやのいぬと私


『ゴールデン・レトリバー、大好きな主人の側に居るだけで世界中で一番幸せと…』

ブチッ



テレビのリモコンをソファーに投げると名前は溜め息をついた


「私らしくないな…」


1人の人間にここまで執着してしまうなんて。

『苗字さま』

何故か違和感があった。


うまく言えないが…


コンコンッ


「名前ちゃん、いる?」

野ばらだ

「開いてるよ。」

ガチャッ

「おはよう、朝早くにごめんね。夜に凜々蝶ちゃんと御狐神の歓迎会をしようと思うんだけど…名前ちゃんもどう?」


「歓迎会?」


「ラウンジを飾り付けてパーティーするの。食べ物とかは反ノ塚とカルタちゃんに行ってもらったから装飾だけなんだけど…」

ラウンジを1人で飾るのは難しいだろう

「手伝うよ。」


そう言うと野ばらはありがとうっと言って部屋を出ていった

「…気を使わせちゃったかな。」

動きやすい服に着替えるとラウンジへ向かった






準備から3時間後…

「こんな所かしらね。手伝ってくれてありがとう名前ちゃん。」

「暇だったからだし、まぁ…楽しかった。」


ほんのり頬を染めて言うと


「メニアーーック!ツンデレ?名前ちゃんツンデレなのー!?」


「野ばら怖いよ…ってかカルタ遅くない?」

時刻は逢間が時になろうとしていた


「ちょっとヤバい時間ね、探しにいきましょうか。」

名前は頷いた


ガチャッ

野ばらが扉を開けると黒い物体が挟まれた

まさか…?

「…連勝?」

「おいおい挟まれてペラペラになっちゃったじゃん。」

「つっこまないわよ、それどころじゃないの。」

「まぁ、変化してるのが悪いよね。」

「なんか扱いひどくない?」

連勝から視線を外すと凜々蝶と目があった

「…カルタを見なかった?」

「見ていないが…どうしたんだ?」

「おつかいを頼んだんだけど帰ってこないの。時間的にも危ないし…」


「探しにいくしかないでしょ。」

ちらっと御狐神を見る


「凜々蝶さまはここでお待ちを。」

「言っている場合か、早く済ませるぞ。」


「じゃあ野ばらは待機してて、帰ってくるかもしれないし。」

名前はフードをかぶって歩き出す

「苗字さま、お一人では危険です。4人で行動しましょう。」







「見せて頂戴、私の左目…」

左目に手を翳して呟く名前



「彼女は何をしているんだ?」

凜々蝶が御狐神に問う

「苗字さまは天狐の先祖がえりでいらっしゃいます。彼女の左目はすべてを見透かすのです。」





「…見えた、公園を歩いてる。」

「公園にいくぞ。」

凜々蝶の初ケータイの番号を交換すると早足に公園へ向かった







「じゃあ俺空から探すわ。」

「見つからないでね。」

「大丈夫大丈夫、風に飛ばされた紙切れのフリするから。」


フリではなく本当に飛ばされる連勝

「馬鹿が、行方不明者を増やしてどうする。」

「探さなくても私の目で見えるのに…」


2人が同時に足を進めた瞬間、


「「!!」」

辺りが闇に包まれる

「凜々蝶さま!」

御狐神の焦る声が聞こえた気がした






「なんだここ…」

「塗壁だね、道を塞ぐだけの妖怪。」


「まさか髏々宮さんもこれに捕まって…?」

「さぁ…どちらにせよここでじっとしてるのは時間の無駄ね。」

凛々蝶は頷いた


「「こんなもの、」」


「破って通ればいい!」
「ブッた斬ればいい!」


2人は変化して武器を構える

「ほぅ、君も耳がはえるのか。」


「鬼の先祖がえりなんだ。」


軽口をかわし、一気に刀を振り下ろす

ガシャァァァンッ


壊れた壁の向こう側には同じく刀を降った直後の御狐神

「ご無事でしたか、凜々蝶さま!」


御狐神が凜々蝶に駆け寄ると連勝が名前の顔を手で覆った


「なっ、連勝!」


「…見ないほうがいい。」

いつもとは違う連勝の声に不覚ながらドキッとしてしまう。


「なに言って…!」

無理矢理引き剥がすとやっぱり見なければよかったな、と後悔した


「凜々蝶さま!」

凜々蝶をきつく抱き締める彼と拒まない彼女


「…大丈夫なのか?」

「私には関係ない事だもの。」

ピルリルリー♪

「もしもし、オレー」

相手は野ばらかな

「帰ってきた?」


よくある展開でした







「「おかえりなさーい&妖館へようこそー♪」」

突然の事に目を丸くする凜々蝶

「よーこそー」

「…ようこそ。」

どうやらカルタほ七面鳥を探していたみたいだ


素直じゃないながらも歓迎会に参加する凜々蝶

「…ごめん、部屋戻るね。」

突然言い出した名前をみんなは黙って見送った




「反ノ塚、彼女のSSは?」

反ノ塚はバツの悪いような顔をした

「いないのよ、凜々蝶ちゃん。名前ちゃんは6歳からここにいるらしいんだけどSSをつけたことはないみたい。」

「ふぅん。」

(そんなに小さい頃から…)

「凜々蝶さま、そろそろお部屋に戻られてはいかがでしょうか。」


「そうだな。」

(それに、御狐神くんも彼女の事を気にかけているようだ。)

彼女は何者なのだろうか。


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