( どうぞよろしく、赤城です )
曖昧高校には普通科、工業科、生活科と3つの科がある。普通科は男女の比率が同じで問題は少なめだ。どちらかといえばチャラめ。生活科は女子だけしかいない。ケバい。ビッチばっか。で、俺、赤城三弥がいるのが工業科。男ばっか。不良ばっか。問題ばっか。工業科だけ棟が別。一応廊下で繋がってるけど。その工業科をまとめてんのが零原桐斗。いかつい感じのイケメン。くそケンカ強くて不良まとめてるわりには飲酒も喫煙もしない。髪も染めてない。めんどくさいらしい。なのに不良だってわかっちまうのはなんでだろうなあ。
その零原が一ノ瀬と連むようになった。連むようにっつうか、なんつうか、あの一ノ瀬を手懐けたっつうか。今だって屋上であぐらの上に一ノ瀬のっけて飯食わせてやってる。
一ノ瀬っていったら顔はきれいだけど電波だろ。誰も会話できねーの。なのに零原とはできてる。たしか一ノ瀬もそこそこケンカできたはずだ。気分によるらしいが。どんな基準かはわかんねーがキレたらやばいらしい。俺はみたことねーけど。
そんな一ノ瀬を零原は屋上で拾ったらしい。なんか家にも居ついているらしい。なんでだ。たった1日でなにがあった。
「ゆーき、お前野菜もくえよ」
「れーちゃん食べて」
「栄養いかねーぞ」
「口移しして。鳥みたく」
一ノ瀬の思考が一切わからん。なんでそこで口移し?意味わかってる?横から「赤城さん、口からコーラ溢れてます」とか聞こえるが正直それどころじゃない。お前らも俺のコーラじゃなくてあっちの親鳥と雛鳥の心配をしろよ。
「しょーがねぇなあ」
すんのかよ。口の中に弁当の中の野菜を入れる零原。見たくない。見てはいけない気がする。でも、でもでも。
「ほら口開け」
「あ」
零原の口と一ノ瀬の口が重なり、離れるときの零原の舌がやけにリアルで。一ノ瀬の喉がそのまま動く。
「れーちゃんのおかげで味わかんなかった。ありがと」
「そりゃよかった」
よくねーよ。
「なあ」
「はい」
とりあえず近くにいた後輩を俺の隣に座らせる。
「あれってなに」
「さあ」
「いちゃついてんのかあやしてんのかわかんねーんだけど」
「どっちでもいんじゃないすかね」
「あんたドライね」
「はあ、よく言われます」
人選ミスったわ。俺が間違ってる気になってくる。あ、またやってるよあいつら。