( ほんとの平和とはなんだったのか )



「今日は静かだなぁ」
「ですね」
「零原がいねーとおまえがゲーム魔になんのな」
「ですね」
「ひまだなぁ」
「…………」
「そこは相手してくれんじゃねぇのかよ!」
「いやあ〜、なかなか先に進まなくて。零原さんにこの一個先までクリアしとくように言われてんすよ」
「零原のデータかよ!」
「セーブ忘れたみたいで」
「断れよ!」
「俺まだやってなかったんでべつに」
「人様のゲームを先にやってんのかよ零原は」
「零原さんなら仕方ないかなぁみたいな」
「それを言われちまうとなあ」
「ですよね」
「だよなぁ」
「あ、勝った!やった!」
「おまえも素直に喜ぶんだなあ」
「喜びますよ」
「なんかすげー上から鼻で笑うイメージ。はっ、みたいな」
「ああ、まあ、ほとんどは」
「裏切らねぇなあ」
「あざす」
「ほめてねぇよ」

つらつらと会話をつづける2人。青柳はうつぶせに寝転がり肘をついてゲームをしている。赤城は青柳の腰あたりを枕にし仰向けになって空を眺める。

「あいつらはどこまでジュース買いに行ったんだろうな」
「一ノ瀬さんは最近ストロベリーバナナシェイクにはまってるらしいですよ」
「それって駅前にしかなくね」
「そのまま帰るんじゃないすか」
「しかしまた甘そうなもんを」
「甘党ですよね、一ノ瀬さん」
「零原も甘いのいけるしなぁ」
「赤城さんは?」
「べつに、普通。青柳は?」
「甘すぎなければ」
「あー、そんな感じ」
「どんなすか」
「ココアよりコーヒーみたいな」
「まあコーヒーは好きですね」
「似合うのがむかつく」
「赤城さんはコーラな感じ」
「ああ、好き好き」
「やっぱり」
「なんだよやっぱりって」
「似合うなあ、って」
「喜んでいいのかそれは」
「さあ」
「くそ、また適当なこと言いやがって」
「あ」
「あ?」
「負けた……赤城さんちょっと本気だすんでよけてください」
「あいよ」

青柳が起き上がりあぐらをかく。それぞれの膝に肘をつき本気モードに入る。赤城は邪魔にならないように青柳の背中に寄りかかり、眠ることにした。

「勝ったら起こして。コーヒー飲みにいこ」
「コーラじゃないんすか」
「コーラはおまえ」
「なんでですか」
「いーじゃん。じゃ、寝る」
「はい、おやすみなさい」

静かな屋上もいいものである。



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