全く新しい仕事を始めたくなった俺は、ハウスキーパーの仕事をしてみることにした。

前の仕事はデスクワークが基本だったので、体を動かす仕事に就きたかったのだ。


高卒で働いていた俺はまだ19。もうすぐ20。
ハウスキーパーの仕事もやりながら覚えてくれればいいとのことだった。


給料もいいし、住み込みの食事つき。破格の待遇だ。


そんな最初のうきうき気分の俺をぶん殴ってやりたい。




ご主人様との出逢い





すげー立派なお屋敷に入ると、入り口にいた可愛いメイドさんに雇い主の部屋に通された。その部屋には若いイケメンが偉そうに足を組んで座っていた。


俺をじっくり眺めたあと。


「お前が新しいメイドか」


メイド?ハウスキーパーじゃねえの?



「あ、の」


「うるさい。メイドならこれに着がえろ」


「はあ」


そういってドアの近くに立っていたひとりのメイドから紙袋を手渡される。中をみると白いフリルと黒と白の布が見える。


そしてそのままメイドの人に手を引かれ、別室へと連れていかれる。


時折メイドの人がつらそうに息を吐いたり歩くのがつらそうだったりするのはなんなんだろうか。


「はぁ、じゃ、これに着がえて、んっ」


「…………あの、大丈夫すか」


「大丈夫、ほら、はやく」


てゆうか。
このメイドさん男じゃないか?


え?じゃあこん中って。


恐る恐る取り出すと、目の前のメイドさんより露出多めなメイド服が。


いやいやいやいや。


「これ、すか」


「ん」


こくんと頷くメイドさん。なぜか頬を蒸気させ足をもじもじさせている。


「いやいやいやいや、むりです、むりですむりですむりです」


「でも、制服、だから、ぁ」


「……………………」


「やめらんないよ。やめるには、違約金?すげー、はらわせ、っ、られ、る、んっ」


は。



「すげーいいよ、ここ。最初だけ、我慢すればいいから」


「はあ」


「それとも、お金払ってやめる?」



金ねーからそれはむりです。退職金なんて微々たるものだしすずめのなみだほどの給料では満足な貯金すらできていないのだ。


「ね、ほら、きて?」



給料と待遇につられた過去の俺を呪いたい。


でもこの服さえ着るだけでいいなら。



俺は覚悟を決めた。







「うわ、スースーする」



とりあえず着てみた。
細かい装飾的なのはわかんないから後回し。足がスースーする。


「あの、」


どんなもんかとメイドさんにみてもらおうと声をかけると。



メイドさんは壁によりかかり手で口を抑えながらピクピクとふるえていた。


え、体調悪い?てかなんかエロくね?


メイドさんは俺の声に気づいたようで、なぜか濡れた目で俺をみてきた。


「ん、かわい、」


「はあ、で、あの、これってどうすれば、」


細かい装飾的なものを指さすと、メイドさんはそれをみて近づいてきた。



「んっ、これは、ソックス。はいて」


「あ、はい」


「で、これは、チョーカー。首に、つけてね」


「はい」


「で、これは、っ、てくびと、ふとも、も」


「ふともも?」


「そ、っん」


「わかりました」


「で、下着脱いでね」


「は?」


「はやっ、くぅ」


「は、はい」


恐る恐る下着を脱ぐ。うわ、頼りねえ!


「で、さいご。ガーター、ベルト」


「ガーターベルト!?」


「ん」


そんなもんつけたこともなければ脱がしたこともないわ!なにが悲しくて自分で身につけなけりゃいかんのだ!



「つけかた、わかんない?」


「まあ」


「わかった。っ、スカート、あげて」


「え!?いや、今下着つけてないし」


「大丈夫、だから、ほら」


下からメイドさんに上目づかいで見上げられれば従ってしまう。



「あはっ、立派」


近いです!息がかかってます!てか息暑すぎないですか!


腰に手を回しガーターベルトとやらを俺につけてくれるメイドさん。



…………なんで腰くねらせてんすかね。


「ん、できた」



メイドさんがんっ、とか、あっ、とか声を上げながらよろよろと立ち上がる。


「じゃあ、もどろっか」



正直もどりたくねー!


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