3.5

他校の男子生徒に絡まれた私を助けてくれた彼は、同じ来神高校の2年生で名を"平和島静雄"というらしい。
あんなに喧嘩が強いのに平和と静という字がついていると知って、そのギャップになんだか少し笑ってしまった。彼はそんな私を不思議に思い問い掛けてきて、助けてもらったのに申し訳ないけど正直に答えてみた。すると彼は呆れたように『そんなこと言えるならもう大丈夫だな』と笑った。

その表情を見て、確かに喧嘩も強いけれど、本当の彼は穏やかでとても優しい人なんだ、と改めて思った。


だって私は彼に助けられた後ボロボロと泣き出してしまって、それでも彼は黙って私が泣き止むまでずっと慰めてくれたのだから。


今更CDを見に行く気になんてなれなくて、直接家へ帰ろうと思うけど向かう先は先程と変わらず池袋駅だ。丁度平和島さんの行き先も同じだったらしく、一緒に池袋駅まで向かった。そして、路線の違う電車に乗る私をホームで見送ると彼は立ち去っていった。


帰宅ラッシュ前の少し混み始めた電車に揺られながら私は今日の出来事に考えを巡らせる。
折原さんが私に対して警告したのは私が他校性に襲われる事が分かっていたからなんだと。
でもこうなる事を予測していたなら何故力ずくでも止めてくれなかったんだ、などと折原さんを恨むような気持ちには不思議とならなかった。
勿論彼が一応私に対して忠告していたという事実もあるが、それだけではない。
そして同時に思う。
今日は不幸なようでそんなに不幸でもない1日だったのかもしれないと。









だってあなたがいたから



bkm
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