倒錯

▼Chapter3

(__A little while ago only one lie was told you.)



シーカーが目を覚ますと、時計の針は七時を回っていた。
堅いベッドの上で、とん、と小さく寝返りを打つ。
カーテンを締め切った薄暗い部屋の片隅で、背を丸めてきつく目を閉じる。
時計の秒針のみが一定のリズムを刻み、思考の輪廻に引き込まれる中、虚ろな頭で彼はだんだん大きくなっていく足音を聞いていた。
足音が、止まる。シーカーの部屋の扉がノックされる。
「よう、シーカー」
扉の向こうから聞こえる声は間違いなく、自分がどれだけ追いかけても永遠に届きそうにない存在で。強くなればなるほど、さらなる高みに立っていることを思い知らされる。
いくら周りに天才と呼ばれようとも、その実力差は自分が一番身にしみて理解している。今のシーカーでは何をしても決して手が届くことはない。
「あー、その、だな。腹減っただろ?」
「……別に、減ってませんよ」
「えーっと、じゃああれだ。まだ痛みひどいだろ、セルシュの所、行くぞ」
「眠ったら痛みはひきました」
「……」
会話はそこで途切れる。シーカーの部屋の前でシーカーに話しかけていたオークがどんなに感覚を研ぎ澄ましても、シーカーが動く気配すら感じられない。
気まずい沈黙の時が流れ、それに耐えきれずオークは噛みつくように怒鳴った。
「ええい、悪かった!俺が、悪かった!な、この通りだ!拗ねるのをやめて、いい加減出てこい!俺にはお前の力が必要なんだよ!」
謝罪という、柄にもないことを行う気恥ずかしさを隠すべく衝動に任せて一通りまくしたてた後、不機嫌そうな表情でオークはシーカーの反応を待った。
数秒の後。
「……貴方は、僕が拗ねてると思ってわざわざ訪ねてきたんですか?どうしようもない馬鹿ですね。手の施しようもありませんよ。
休息を取っていただけです、僕の《目》のことは知っているでしょう?最近少し疲れも溜まっていたんです。
貴方も僕の相棒なら、少しでも心配する気があるのなら、まずそこを考えるべきだと思いますが」
シーカーが扉から顔をのぞかせ、その薄灰色の目でオークを睨んでいた。
「お、出てきたか……。あー、まあ、そこは気にすんな」
「気にしてください」
いつも通りの澄ました口調でオークを一蹴し、シーカーはコートを羽織りつつ自室の鍵を閉め、エレベーターに向かってつかつかと歩き出す。
「あっ、オイ何処行くんだお前?」
オークの呼びかけに、シーカーは前を向いたまま一歩足を止める。
「……先ほど、一つだけ嘘を吐きました」
一瞬怪訝な顔をするオークだったが、直後ぐぅ、というシーカーのおなかの音を聞き彼が空腹であったことを理解した。
軽く噴き出しつつオークは素直でないパートナーの後を追った。シーカーが自分を『相棒』と呼んだことに対する、静かな喜びに顔を綻ばせながら。


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シーカーのデレ回。……デレ回?
短いですね次が長いです多分!


NIIGATAがNIGHTMAREに見えた私はきっと疲れてる。
新潟ごめんなさい私勘違い多いんです
アドホックとアホドック間違えてましたアホドックモードて、なんて犬に失礼なモードなんだろうと思ってました
アリウープもアウリープだと思ってましたスラダン好きの片隅にも置けない!



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