指でそこを丁寧に開く。わざとゆっくりして、羞恥心を煽ってるんじゃないかと思うくらい丁寧に。


「いい眺めだ。糸を引いて、いやらしいな」

「は、恥ずかしいです……」

「真っ赤になって、かわいいね」


開かれて、それを隠す事もできないまませめてもと赤くなった顔を隠した。

生暖かい舌がそこに触れた瞬間、指とはまた違った快感に体をよじった。


「ん、ふ……っ、はぁ……ああぁっ……」


気持ちいい……ツンツンと舌先で軽く打ちつけられて、きゅうっとそこが膨らむのがわかった。

膨らんだ所をチュッ、チュッと吸われて強い快感に思わず腰を引く。敏感すぎるそこに唾液を隔てた舌と唇で包まれて、蕩けそうなほどよくて。体に力が入らないのに、自然に腰がうねって逃げようとする。


「逃がさんよ」


照星様が吸い付いてきて、そこにざらついた舌を擦り付けられた。もう、イッちゃいそう。さっきみたいに、わたし、どこかに落ちていってしまいそうだと思った。

気持ちよさに、つい乱れる呼吸。酸素が足りないのか、それとも過多なのかそれすらよくわからない。


「イく、わたし、また……」


髪を振り乱して、照星様の名前を叫びながら、真っ白な世界に落ちて行った。





そして気がついた時には、すっかり明るくなっていて……わたし一人で布団の中。



「あ、れ……?」


わたし、もしかして……照星様に何もしなまま、気を失って……寝ちゃった?

サーっと血の気が引いて、慌てて襦袢を着ると、外に出る。


「しょーせいさまぁーーー」


なんて無礼な事をしてしまったんだろう。わたしってば、早く謝らなくては。
あんな風に乱れるだけ乱れておいて、寝てしまうなんて!

井戸の所にその姿を見つけた。顔を洗っていらしたのか、上半身は裸のまま袴だけをお召しだ。男の人の裸なんて見慣れているはずなのに、今日は恥ずかしい。

あの胸の温もりや匂いがよみがえってくる。抱きしめられた感触も、あの声も。ゆうべ触れられた所が熱い。


「あの……」

「ああ、お早う」

「す、すみません!わたし……」

「ん?」

「何も、できなくて……」


わたしの役目は照星様を満足させる事なのに。


「充分堪能させてもらった。これからが楽しみだよ」

「今夜こそ、必ず!わたしの成すべき事を……」

「急くのは好きじゃない。ゆっくり、覚えればいい。男に抱かれる事は怖い事じゃないとね」


夜伽の相手すらまともに出来なかったわたしの頭をポンポンと撫でて、長屋へ戻られた。

この時すでに、わたしは早く抱いて戴きたくて仕方がなかった。
頭の上の手の平が残した感触にも熱を覚える。


「照星様……」


たくましい背中を見つめながら、この方に全てを捧げるんだと改めて決意した。

それはとても名誉な事なのだと、今は心からそう思う。




end
→あとがき









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