「な、中に出しちゃったんですか……?」

「お前は俺のだって納得したじゃねーか」

「あ、あれは!その、睦言といいますか、その場の雰囲気といいますか……」

「何にせよ、中出し御免って事だろ?」

「そんな事ないです!なんですか、その斬捨て御免みたいな言い方」


※ここで斬捨て御免のルール
・斬った後は速やかに役所に届出を行うこと
・どのような事情があったにせよ、人一人斬った責任の重みゆえ、二十日以上に及ぶ自宅謹慎を申し付けられること
・無礼な行為とそれに対する正当性を立証する証人も必要とされる
(解説:戸部新左エ門)


「これ↑を当てはめると、役所に婚姻届を提出して、将来について二十日ほど自宅で話し合いをし、白目が証人って事になる」

「真顔で冗談言わないでください……それに証人ったって寝てますし」

「おもしろくないか?」

「はい。まったく」


寝るわ、といつものように凄腕さんが自分の腕を枕にして目を閉じた。


「もう肌寒くなってきましたから、寝間着は着た方がいいんじゃないですか」

「そうだな」


肯定したくせに、寝間着を着ようとはせずにあたしを抱き寄せた。


「こうしてれば温かいだろ?ちゃんとくっついてろよ。風邪引いたらお前のせいだからな」


もー勝手なんですから、と文句を言ったあたしの顔は笑っていた。
ワガママで強引で自分勝手で強情で。

いつも強気に眉をつり上げてる凄腕さんが、なんだかんだ好きみたいな気がしてきた。


好きって言ってくれる人もいいけれど、やっぱりあたしは自分が好きだと思う人と一緒にいたい。


「避妊なしでヤる事の意味くらい、素直に受け止めろよな」


素直じゃないのは凄腕さんじゃないんですかと言い返したいのを飲み込んで、彼に覆いかぶさるように体を起こした。

月明かりに照らされていた凄腕さんの顔にあたしの影を落とし、そのまま重なる。

ゆっくり、狙いをさだめて。


初めてあたしから凄腕さんにしたキスだった。




end
→あとがき&白と照星さん妄想









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