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次の日から先生は出張が入っていた。もしかしたらあの部屋に閉じ込めておけなかった理由は「常識」ではなく、自分がここに居られないからだったのか。

そんな風に感じてゾクリとする。

有難いタイミングの出張はしばらく先生に会わなくて済む事となった。

何となく会いたくなかった。会ったらきっとあたしはおかしくなってしまう気がしたからだろう。

先生がいない間、彼氏のうちの1人と会ってラブホテルへ行ったのは、あたしの様子がおかしい事に気付いて心配してくれるんじゃないか……そんな期待をしたからだった。

結果はがっかり。あたしがため息を吐こうが悩んでいる顔を見せようが、彼は何も言ってこなかった。


「バイバイ」


あたしは彼がシャワーをしている隙に彼の携帯からあたしの番号や履歴を消した。きっと暗記なんてしてないだろうからこれでおしまい。

もうひとりも電話で簡単に片付けたがこれは先生の為じゃない。単純につまらなくなってしまったんだ。

あんなに偏執的に求められ、形は間違っているが深い愛を囁かれた後では退屈で無味乾燥な男にしか思えなくなっていた。

そして、何より夜な夜なベッドでひとり思い出すのは先生との行為だった。


『どんな事をしても小夜が欲しかった』


あのあたしへの渇望は麻薬のように甘く切ない気持ちにさせる……

悪魔の誘惑、なのかもしれない。



気が付けば一週間の間、あたしは1日も欠かさずに自分を慰める行為に浸っていた。

毎晩そうしないと眠れないくらい疼いてくる。

この体はもうすっかり先生の虜になってしまったのかもしれない。



そんな物思いに更ける夜、先生からのメールを知らせる着信音が響いた。


『小夜に会えなくて気が狂いそうです』


その短くも情熱的な言葉は頭の中に先生の声で再生される。

疼いた体に危ういくらい甘い言葉。


『出張、お疲れ様です。

あたしも今、先生の事を考えていました。』


素直にそう送ってみた。

悔しいけど、確実にあたしは先生に惹かれてるみたいだ。











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