「本当に、あたしを閉じ込めておくつもりなんですか……?」
「そうしたいのは山々なんだけどね」
「よかった。ですよね、監禁なんて……本当にするわけないですよね」
「あからさまにホッとしないで下さいよ。傷付くじゃないですか。あんなに愛し合ったのに」
「先生……」
「ふふ。ちゃんと家まで送りますよ」
先生の笑顔とその言葉に安堵したのも束の間だった。先生はリモコンに手を伸ばしていくつかボタンを押す。
テレビ画面にノイズの後、この部屋が映し出されるとその後にベッドの上、服を着たままのあたし……
これは昨夜の……
「撮ってたんですか……!?や、やだ……消して!!」
「一緒に見ようと思ってね」
嘘だ。先生はこれであたしを脅迫してるんだ……
監禁より卑怯なやり方であたしの自由を奪うつもりでいるに違いない。
「ひどい……」
「どうして?」
意識のないあたしが服を脱がされていく。だらしなく開いたら唇、力無く垂れる手足……
『よく寝てる……目覚めたら可愛がってあげるからね』
テレビの中の先生はそう呟いて一度ビデオを切ったようだ。ノイズをはさんで今度は小さく呻くあたしの声。
無駄な事なのに起きないで!と願ってしまった。
でも、目は開き、あたしが腕を動かそうとしたり頭を動かしたりしてる。
『目が覚めましたか』
「もう、止めて……見たくない……」
死ぬほど恥ずかしい姿と、スピーカーから聞こえてくる声。
「お願い。解かりましたから……あたしも先生のものですから……止めて……」
「見たいのに」
残念そうにリモコンを操作して何とかビデオを止めてくれた。本人は悪気なんて全くないようにも見える。
「僕達の愛の記録。ね?」
そう微笑んだ笑顔は無垢なよう見えたが、見ようによっては悪巧みの笑顔だったのかもしれない。
やっぱり狂ってる……
こんなのおかしいよ……
だけど、どうしてだろう。
どんな事をしてもあたしが欲しいと言う彼の囁きにゾクゾクと胸の奥が反応してしまうのは……
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