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落ち合ったのは小夜さんの実家だった。


「ここ、あの人にも教えてないから」

「おじゃまします……」

「誰もいないから遠慮しないでね」


ごく一般的な民家なのだけれど、好きな人の育った場所だと思うと全部が特別で浮かれてしまう。


「お茶入れるね」

「あ、おかまいなく」


って、ここはおれが淹れるべきなんじゃ。上司の彼女に何をやらせてるんだ。でも、人の家の台所にずかずかと男が入るなんてそれこそ不躾かも。

手伝うべきか、ここは客らしく座っているべきなのか。

手伝った方が優しいって思われるかも。
お頭、小夜さんにそんな事しそうにないし。


「おれが淹れま……」
「おまたせー」
「はやっ」
「そう??」


そんなに考え込んでいたのかと気まずく思って淹れてもらったお茶を飲む。


「あっっちぃぃ!!」

「当たり前じゃないの。もう」


慌てて手拭いを持ってくると、熱くて口からこぼれたお茶を拭いてくれた。


「ずみ゛ま゛ぜん……」

「ほら、口元も」


顎に手を添えて口元まで拭いてもらった。顔近……

やっぱり美人だな……


うちのお頭、性格は置いといて顔は整ってるからな。だからこんな綺麗な彼女が────


うらやましい。


「あ、ところで話ってなんですか」

「ちょっと、言いにくいんだけど……」

「言って下さい」

「いつも、聞こえてるでしょ……?その、夜の事なんだけど……」


なんて言っていいかわからなかった。正直に言ってしまっていいのか、とぼけた方がいいのか。


「いいの。聞かせちゃってごめんね。あの人バカなの」

「バカってw」


思わず噴き出した。
お頭、意外と彼女に軽く見られてるんだ……プ。









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