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Zauber Karte

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Happy Halloween!!


「名前遅いねー…どうしたんだろ?」
「ったく…アイツ、俺達との約束忘れて寝てんじゃねーの?」
「…しっ、新一ぃっ!!」
「あ?何だよ?」
「あ、あ、あれ…」
「あん?」
「…」
「…」
「…」
「…(あれって、もしや…)」
「おっ、お化け!」
「バーロォ!んなわけねーだろ!あんなフラフラ歩くお化けなんかいるかよ!あれは名前だ名前っ!」
「えっ、名前!?」
「お待たせ〜。ごめんね遅くなっちゃって〜」
「…オメー何だよそれ」
「え?何が?」
「何がじゃねーよ!何で白い布かぶってんだよ!?」
「あ、これ?仮装だよ」
「…は?仮装?」
「うん。お化けの仮装。でもこれ失敗作なの」
「失敗作ぅ?」
「そうなの。目のところに穴開けるの忘れちゃったから前が見えなくて」
「…なぁ、普通忘れるか?」
「ううん、忘れないと思う…」
「ねぇ、蘭と新ちゃんはどんな仮装してるの?」
「わ、私は魔女だけど…」
「…俺は吸血鬼」
「へぇ〜!いいな、いいな!ねぇ蘭ちゃん。仮装取り替えっこしよう」
「ええーっ!?やだよだってそれ」
「あ、大丈夫大丈夫。名前が手引っ張って連れてってあげるから」
「そ、そういう問題じゃ」
「蘭、オメー取り替えてやれ」
「はぁ!?やだよ私っ!」
「いーからさっさとしろ!明日の給食のプリンやるから!」
「えー!?でもこの魔女の服、せっかくお母さんに買ってもらって」
「分かった」
「え?」
「向こう1週間のデザート、オメーに譲ってやる」
「い、1週間も?」
「おー。だから早く名前と取り替えろ」
「…」
「…」
「…」
「…」
「もしかして新一…」
「な、何だよ?」
「…何でも無い。名前、博士のとこ行って着替えよ」
「わぁーい!ありがとう蘭ちゃん!」
「…(ま、まさか蘭のヤツ気付いてねーだろーな?)」


──────────


「わぁ…!ねぇねぇ新ちゃん!どう?名前のまほーつかい!」
「…いいんじゃねーの?」
「ほんとー!?可愛い!?」
「…おー、可愛い可愛い(実は名前の魔女になった姿が見たかったなんてぜってー言えねぇ)」
「えへへ!新ちゃんの吸血鬼もかっこいいよ?」
「っ!そ、そうか?」
「うん!すっごくかっこいー!こんな吸血鬼さんがうちに来たらいっぱい血吸わせちゃう!」
「ばっ、オメーなに言って」
「名前〜」
「うん?」
「この布、ハサミで穴開けちゃってもいーい?」
「うん!いいよー!」
「…なぁ名前」
「うん?」
「あの白い布って一体何なんだ?」
「ああ、あれ?あれはパパの部屋のシーツを勝手に持ってきたの」
「…か、勝手に?」
「うん」
「…いや、それはさすがにマズイだろ」
「え?何で?」
「だってシーツだぞ?オメーの父さん怒んじゃねーのか?」
「ああ、大丈夫だよ。パパは名前には絶対怒らないから」
「…じゃあオメーの母さんは?」
「…あぁーーっ!!どどど、どうしよう新ちゃん!!名前怒られちゃうっ!!」
「…はぁ〜…仕方ねぇな。俺も一緒に怒られてやっから」
「えっ、ほんと!?」
「おう。だからとりあえず今はハロウィンを楽しもうぜ?」
「ありがとう新ちゃん!」
「わっ!ちょ、は、離れろよ名前っ!」
「えへへ!新ちゃんだぁーい好き!」
「…(きょ、今日だけはまぁ、いっか…)」
「お待たせ〜!って…あー!新一ずるいよ!名前に抱きついて!」
「ちっ、違ぇよ!コイツが勝手に」
「じゃあ名前、次は蘭ちゃん抱っこするー!」
「きゃー!嬉しーい!」
「お、オメーらなぁ…」
「おーい、3人共!こっちに来るといい。お菓子を配ろう」
「わー!お菓子、お菓子!早く早く!ちょうだい博士!」
「まぁそう焦るでない名前くん。ちゃんとハロウィンに因んだ合言葉を言わんとお菓子はあげられないぞ?」
「あ、名前知ってる!ジャックランタン!」
「…」
「…」
「…」
「名前それ違ぇから」
「えっ!?うそ!で、でも隣の席の関脇くんがそう言って」
「バーロォ、アイツは普段からホラ吹きなんだよ」
「えー」
「本当はTrick or treat!お菓子をくれなきゃ悪戯するよって意味だよ」
「とりっく…とり?」
「トリック・オア・トリート!!」
「…よく分かんないからトリトリー!!」
「名前…」
「ま、まぁいいじゃろう。ほれ」
「わーい!ありがとう博士っ!」
「…おい博士」
「ん?」
「あんまり甘やかすんじゃねーよ。このままだとアイツ一生あのまんまだぜ?」
「…それは新一だって同じじゃん」
「は?どーゆー意味だよ?」
「名前の魔女姿が見たいがために無理矢理交換させたじゃない。私何でも分かるんだから!」
「なっ…!お、オメー言うんじゃねぇぞ本人に!」
「んー、じゃあデザート1ヶ月分で手をうってあげる!」
「い、1ヶ月ぅ!?」
「嫌ならいーんだよ?あそこのソファーでお菓子食べてる名前に言っちゃうから」
「わ…わぁーったよ!やりゃあいーんだろ?やりゃあ!」
「交渉成立!」
「新ちゃーん!」
「んあ?」
「こっち来て、こっち!」
「あ?んだよ」
「はい、これ」
「…え?」
「新ちゃんにあげる!」
「これって…クッキーか?」
「そう!昼間のうちにママと一緒にパンプキンクッキー作ったんだ!美味しく焼けたから食べて?」
「…サ、サンキュ」
「えへへ!…実はそれね、新ちゃんにあげるためだけに焼いたんだよ?」
「……えっ!?」
「ハッピーハロウィン!」
「…は、ハッピーハロウィン」


bkm?

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