短いの | ナノ
ブラコンなイタチ成り代わりとサスケ

※姉弟愛




 私の弟は大変可愛い。

 いきなりなんの宣言かと思うかもしれないがまあ聞いてもらいたい。
 なんてったって私の弟は誰がなんと言おうとどう足掻いても世界一可愛いのだ。
 私と弟には5歳の年の差がある。姉弟にしては少々開いた年の差。もう生まれることはないだろうと諦めていた私のきょうだい。忘れた頃に産まれた、とはこのことである。私の人生の中で最も嬉しい誤算であった。
 自分のものよりもずっと小さく弱々しい身体。生まれたばかりのその姿を見た瞬間、この子は誰かの助けなしに生きることができないのだと理解した。そして私はこの子の唯一の姉だ。つまりこの子を守るのは自分である。ならばこの子を全てのものから守れるよう、私は何者よりも強くならねばならぬ。そう決意した。
 私に守られねば生きていけないというだけでも、ふにゃふにゃの赤子というだけでも愛おしいというのにそれに加えて、私の弟は、サスケは、それを抜かしたってとんでもなく可愛かった。
 例えばサスケはハイハイができるようになった時には私の後を始終ついて回ったし、歩けるようになれば私の真似をしたがった。
 
 「ねー、しゃ!」
 「なあに?サスケ」
 「あ!」
 サスケは私の持っている巻物に手を伸ばした。自分も同じように読みたいということだろう。しかしサスケはまだ文字を読めないし、これは借り物なので破かれたりしたら困る。
 「サスケ、これは姉さんのだから駄目だ。サスケにはそっちのおもちゃがあるだろう?」
 「や!」
 「・・・困ったなあ、じゃあこれは片付けてくるよ」
 「やー!」
 「戻ったら一緒に遊ぼう」
 「う、うー」
 「それは否定と肯定、どちらなんだ」
 「うー?」
 きょとん、とした顔で小首を傾げたサスケのなんと可愛かったことか!!ああああああああ私の弟可愛い・・・・・・!!勿論その後全力で巻物を自室に片付けて全力でサスケと遊んださ!しかしサスケのまねっこくっつき虫はここだけに収まらない。これが何年かしてサスケがいくらか大きくなると。
 
 「姉さん!俺にも修行つけてよ」
 玄関で靴をはこうとした私の背中にとたとた寄ってきてくっつくのは言わずもがな、私の可愛い可愛いサスケである。溢れんばかりの大きな目を期待にキラキラ輝かせて私を見つめるサスケは、それは、もう、すこぶる可愛い。上目遣いとか絶対に狙ってる。天性とかそんなまさか・・・だが弟ならば天性だろうが魔性だろうが美味しくいただけるので問題ない。そんな可愛い弟の可愛いお願いを聞いてやりたいのは山々だがしかし、私も自分の修行があるのでその日はサスケに付き合ってやれなかったのだ。
 「許せサスケ、また今度だ」
 こんな時は最終手段、こう言ってサスケの常時晒されているおでこをコツンと指先で小突いてやる。するとサスケは不満半分、嬉しさ半分、といった表情をするのだ。
 「・・・こ、こんどっていつだよ!」
 わざと憎まれ口を叩いてはいるがその心中は姉さんにはお見通しなんだな。
 「今度は今度さ」
 なんてつれなくしてやるのも・・・ああ、なんて楽しいことか!
 後ろでぶすくれているサスケを放って私は玄関の扉を開ける。そのプクプクに膨れた頬をぶちゅりと潰したい衝動を抑えながら。まて私、落ち着け私。今は知らないフリをしておくべきだ。そして焦らして焦らして帰ってきてから構い倒すのが一番美味しい食べ方・・・じゃなかった、楽しいやり方なのだ。だからそれまでは待つのだ。
 その日の私は一緒に修行していたシスイさん曰く、かなり殺気ならぬやる気を醸し出していたらしいが、それはひとえに弟を可愛がれなかったストレスから来ている。だがそのおかげで修行が大変はかどったことはもはや言うまでもないだろう。このようなことを積み重ねて私は強くなったといっても過言ではあるまい。


 「・・・・という訳で私の強さの原動力は大体お前に起因しているのだ」
 「・・・・・・・・・・・・・」
 「・・・サスケ?私の強さの秘訣を聞いてきたのはお前だろう、なんとか言え」
 「・・・・・恥ずか死にそう」
 「これくらいは序の口だ。なんならアルバムとともにサスケへの愛を語り尽くすこともやぶさかではない。長くなるから互いに連続休暇を取らねばならないがな」
 「やめてくれ」
 顔を両手で覆ったまま動かないのはあれから幾年も重ねて立派に青年へと成長した私の弟である。私は今日も今日とて可愛い私の弟をからか・・・可愛がることに今日も今日とて余念がない。

 「・・・サスケ。そろそろお前の可愛い顔を姉さんに見せておくれ」
 「・・・・・・・・・勘弁しろ」
 今日も私の弟は大変可愛い。



 

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