「運命で結ばれた僕ら」



 警察官になるため、警視庁警察学校へ入校した。かわいい双子に会えなくなるのは正直寂しかった。5歳のころから見てきて、暇さえあれば幼馴染の萩原研二を連れて工藤邸に足を運んでいた。学校は寮制度なので、「暫く会えない」ことを言うと双子は寂しがってくれた。「毎日電話する」ことを約束させられた。萩原と松田に彼女ができないのはこの双子のせいかもしれない。

 警視総監を殴るために警察官を志した松田だったが、入校すると一癖も二癖もある奴らが一緒の班になり毎日が飽きなかった。

 全科目オールAという、警察学校の歴史でも類を見ない好成績で入校したが、真面目すぎる性格と特徴的な容姿から他生徒といざこざが絶えず、松田とも出会った当初から喧嘩した降谷零。
 正義感は強いが、幼少期の両親が殺害される現場を目撃したことによるトラウマを抱え続けている諸伏景光。
 降谷に続く総合力No.2と優秀で、面倒見が良くリーダーシップがあるが、警察官だった父親の辞職を引きずっている伊達航。

 そして幼馴染で親友の萩原研二を入れた5人が松田の班のメンバーだ。


降谷「二人は毎日電話しているようだが、彼女か?」

諸伏「それ、俺も気になっていたんだ。」


 食堂で朝食を食べていると、降谷が萩原と松田に聞いてきた。チラチラこっちを見てきたから何かようでもあるのかと思ったが、毎日電話しているのが気になったらしい。確かに、二人して同じ受話器に向かって話してるのはだいぶ不審だろう。


萩原「あー、違う違う」
降谷「?」
伊達「みんな噂してたぞ、束縛彼女って。」
松田「ははっ、まじか」
萩原「束縛っちゃー束縛なのか?」
諸伏「どういうことだ?」
松田「10歳の双子なんだよ」
「「「え」」」
伊達「犯罪か…」
萩原「んなわけないでしょ!!」


 10歳の子供という言葉を聞いた瞬間に場が凍りついた。萩原は双子のことを説明し始めた。この話を聞くと3人は安心したように息を吐いた。ロリコンやショタコンに見えるのか。松田はじとりと降谷たちを睨んだ。


諸伏「どんなことを話すんだ?俺、兄弟は兄さんしかいないから妹とか弟欲しかったんだ。」
萩原「そうだなぁ、だいたい俺たちの話とか」
松田「事件に巻き込まれてないかとかだな」


 松田の言葉に降谷たちは首を傾げる。


松田「あー 双子の妹の方がな不審者ホイホイなんだよ」
諸伏「そんなゴキ○○リホイホイみたいに…」
萩原「それがすげーんだよ。家から一歩出ればストーカーに遭い、街を歩けば誘拐され、店に入ると人質になる。」
降谷「なんだそれは」
松田「言っとくけどこれマジだからな。」
伊達「まじか…」
諸伏「(なんか覚えがあるような)」


 萩原と松田と出会ったときでさえ誘拐されそうになったときだった。彼女は容姿端麗故にさまざまな事件に巻き込まれてきたのだ。理世と電話するときはまず最初に「変なやつに合わなかったか」を聞くようにしているぐらいだ。


萩原「だから俺たちは心配なのよ。」
諸伏「じゃあ最近も不審者に遭っていたのか?」
松田「そういえば、なんか変なこと言ってたな」
降谷「変?」
松田「"私のことを嗅ぎ回っている奴がいる"ってな」
伊達「それってストーカーってことか?」
降谷「嗅ぎ回ってるって?」


 理世が異変を感じたのは、一週間前のことらしい。最初に気づいたのは、小学校からの帰りに後ろから気配がすることだった。ストーカーに他の小学生よりも耐性がある理世はすぐに交番に駆け込んだが、警察には「気の所為だ」と相手にされなかったという。郵便受けが開閉されていた痕跡、理世のクラスメイトに「理世のことを聞かれた」という話を聞いたり、家の窓からこちらを除く人影を見たと言っていた。


降谷「なるほど、完璧にその子目当てだということか。」
伊達「ご両親に知ってるのか?」
萩原「知ってるんだけど、決定的な証拠もなければ犯人の目星もないみたいで今は様子見してるらしいんだ。」
松田「毎日学校と習い事までの送迎をしてもらって、休日は一歩も外に出てないって言ってたな」
諸伏「なんか可哀想だな」


 諸伏の言葉はもっともだと松田は思った。松田が小学生のときは、萩原と一緒に外を駆けずり回っていた。萩原の父親の工場で遊んだり、分解したり、公園に行っては鬼ごっこやかくれんぼ、子供のうちにできることはなんでもやった。それを理世は出来ていない。自由に遊ぶことや、友達との登下校も。元々インドア派だとしても窮屈に思っているのではないだろうか。聡明故に忙しい両親に申し訳なさを感じているかもしれない。


萩原「次の休日、その子とごはん行くんだよね〜。もっと詳しく話聞きたいし、少しでも気を紛らわせることができればなと思ってね。」
降谷「もしかしたらそのストーカー、そこまでついてくるかもな。」
松田「それはあるな。」
諸伏「それ俺もついていっていいか?」
萩原「へぇ諸伏ちゃんが珍しいねぇ」
松田「でもあいつ人見知りだからなぁ」
萩原「まぁ諸伏ちゃんだったら大丈夫じゃない?」
降谷「どうしたんだヒロ。いきなりそんなことを言うなんて」
諸伏「なんだか気になることがあって…」


 諸伏が幼い頃に両親を殺害した犯人が少し前に松田たちは捕まえていた。犯人の娘のことを思い出したのだろうか。顔を青ざめ顰めている。


萩原「じゃあみんなも来る?」
松田「萩」
萩原「理世ちゃんなら大丈夫だよ。」


 萩原と松田の友達でしかも警察官になりたくて警察学校に在籍しているなら大丈夫だろう。いつか会わせようと思っていた松田たちだった。少しでも理世に警察官の知り合いがいた方がいいと萩原と話していたのだ。

 降谷と伊達は顔を見合わせると、頷いた。


***


降谷「それで松田はどこ行ったんだ?」
萩原「今迎えに行ったよ。もう来ると思うけど」


 約束の日になった。諸伏景光は、降谷零と伊達航と萩原研二、松田陣平とレストランに来ていた。松田たちがいう少女は母親に車で送ってもらうらしく、松田が近くまで迎えに行っている。


松田「悪い、待たせたな」
萩原「理世ちゃーーーん」


 松田に抱っこされてその子は現れた。松田の首筋に顔を埋めていて顔は見えないが、栗色の長い髪が揺れている。萩原は、松田たちの姿を見ると走り出した。萩原の声に少女は顔を上げる。目がくりくりとしていてキラキラ輝いていた。可愛らしい顔をしていて、この顔なら確かに不審者に遭うかもしれないと思った。しかし、なんだか見覚えがある。
 少女は萩原を見ると会えたことが嬉しかったようで笑顔で手を伸ばした。そのまま少女を抱き上げると一回転して抱き締める。少女は諸伏たちに気づくとまた萩原の首筋に顔を埋める。


松田「悪いな。人見知りなんだ。」
降谷「いいや、気にしないでくれ。こんなイカつい男が一気に現れたら怖いよな。とくに班長はね。」
伊達「悪かったな。イカつい男でよ」
萩原「大丈夫だよ理世ちゃん。みんな優しい奴だから。」


 「挨拶できる?」と萩原の声かけに、『工藤理世。10歳だ。』と言った。その瞬間、諸伏の頭の中で数年前の記憶が呼び起こされる。


降谷「工藤理世…?」
諸伏「もしかして何年か前に」
『ヒロにいだあ!』
松田「え、お前ら知り合いだったのか!?」



 萩原が予約してくれていたのはイタリアンレストランだった。チェーン店だが雰囲気と美味しさでとても人気なお店だ。イタリアンテイストの内装はとてもおしゃれで、落ち着く雰囲気が出ている。好きな席に座っていいということで、理世ちゃんが窓際の席を選んだ。レジカウンターにあったポスターを理世ちゃんは見ていたがすぐに席に歩き出していた。理世ちゃんを真ん中にして松田と萩原が座り、向かい側に諸伏と降谷、伊達の順で座る。


松田「それで、理世とヒロの旦那はどこで会ったんだ?」
諸伏「俺たちが高校生のときだったかな?ゼロとショッピングモールで買い物してたんだ。歩いてたら理世ちゃんが迷子になってて、その後ろを変な男がついて歩いてたから不審に思って、」
降谷「その男がその子の手を掴んでつれ去ろうとしていたから俺がその男をぶん殴ったんだ。」
諸伏「それで警察を呼んで、ゼロが捕獲している間に俺が理世ちゃんを保護したんだ。」
萩原「それで、諸伏ちゃんの名前しか知らなかったのか。」
降谷「そうだったな。改めまして降谷零です。」
『あのときはありがとうございました。おかげで今も生きてます。工藤理世です。』
伊達「本当に10歳か…。伊達航だ。よろしくな。」
松田「電話で話したろ?こいつがはんちょーだ。」
『なるほど、いつもじんぺーさんとけんじさんがお世話になってます。』
伊達「おい、この子本当に10歳か?」
萩原「俺もたまに同い年と喋ってるかと思う時があるよ」


 ぽりぽりと頬をかく萩原。確かに大人びた子だ。確か、あの時も「腕掴まれて怖かったよな。もう大丈夫だよ。」と声をかけたら『よくあるし、慣れてるから大丈夫だ。』と言っていた。逮捕しに来た警察とも知り合いだったようだし、事件に巻き込まれ過ぎて警察と顔馴染みなったのだろう。彼女の大人びた性格も、事件に巻き込まれてのことだったら…。諸伏の人一倍でかい正義感、そして良心が揺さぶられる。グッと胸を抑える諸伏に、降谷はそんな諸伏を心配して声をかける。

 メニューを広げて食事を選ぶ。松田と萩原は理世ちゃんが食べたいものがわかるようで、指を差していた。どうやら指を差していた料理にするようだ。それぞれが選び、注文する。

 注文し終わると、カランカランと店のドアが開く音がする。理世の目が細くなった。その視線に、後ろを振り向くと一人の男がキョロキョロと周りを見ましていた。レジカウンターを見ると体をビクつかせている。何かに驚いた?男は店員に話しかけられると座る席を探し始めたようだ。ばちりと目が合う。男は急いで目を逸らすと諸伏たちの向かい側の入り口近くに座った。

 諸伏は理世の方を見るとなんだか謎が解けたような顔をしていた。口角を上げ、自信満々な顔だ。


『警察に電話しろ。』
伊達「え?」


 尊大かつ老成した男性のような口調は、重々しい。伊達は反射的に声が出る。少し声が大きかったようで、理世は人差し指を口に当てる。


『しっ、』
松田「どうした?」


 すぐに松田が反応した。5人は理世に視線を集める。


『あまり気取られるな。あいつが逃げるだろ。』


 その言葉に沈黙する。降谷と諸伏、伊達は目をぱちくりさせる。一方、萩原と松田は理解したようだった。萩原はすぐに携帯電話を取り出し、警察に電話し始めた。


降谷「待ってくれ、どういうことだ?」
『彼は、指名手配されている人間だ。』
諸伏「え?」
松田「まて、理世。なんでわかったんだ。」
『彼は高橋芳彦、42歳。女児誘拐事件の指名手配犯だ。顔は整形しているが、耳の形までは変えていなかったようだな。耳の形は耳紋と言って、指紋と同じく誰一人として同じ形をした人はいない。彼がヒロにいと目があい、逸らした時に耳が見えたんだよ。』


 理世は諸伏たちが唖然とするのを物ともせず、口を止めない。


『それに、辺りを警戒しながら店に入り、レジカウンターに貼ってあるポスターを見て反応していた。2分おきに辺りを見回すのは、彼は追われている身だからと考えるのが妥当だろう。ポスターを見て反応したのは、自分が載っている指名手配のポスターだったからだ。』
諸伏「店に入ってきたときの不審な動きはそういうことだったのか。」
降谷「それで萩原、警察は?」


−−−ガタッ


松田「逃げるぞ!!」


 警察という降谷の言葉が聞こえた男は、逃走しようと席を立つ。男の行動を見ていた松田が声をあらげ走り出した。それを追い、椅子を飛び越え降谷と伊達が走り出す。松田のボクシングで鍛えたパンチを喰らい男は倒れた。


諸伏「君は一体何者なんだ…」


 諸伏と12歳も年下の少女が一人の指名手配犯を特定した。観察力、推理力、そして知識がどれも小学校4年生とは思えなかった。向かい側に座り、松田たちが男を捕まえるところを見守っていた理世。思わず聞いてしまった諸伏に、理世は得意げに笑った。


『ただの小学生だよ。』


 その言葉に諸伏は思わず笑ってしまった。


***

 警察学校で仲良くなった萩原研二と松田陣平が毎日電話している相手である少女と会うため、降谷は諸伏景光と伊達航も入れた5人で食事に行くことになった。松田に抱っこされて現れた少女は、降谷が高校生のときに諸伏と一緒に助けた少女だった。少女は諸伏のことしか覚えていなかった。まあ、あの時降谷は不審者を捕まえていたために話す機会がなかったのだが…。

 少女は萩原と松田の間にちょこんと座っている。とても仲がいいとすぐにわかった。萩原が人当たりがいいのは知っていたため、子供とも持ち前のコミュ力で仲良くなれそうだなとは思っていたが、傍若無人の松田が少女の前であんな優しい表情をするのには驚いた。ぶっきらぼうな口調はなりを潜めている。

 なんだか12歳も年が離れているとは思えなかった。
 礼儀正しいのはあるが、言動は大人のようだった。お礼をいうときの所作や、言葉遣いは10歳が使う言葉ではない。そんな違和感は諸伏と伊達も感じているようで、いつもより少し調子が狂っているようだ。

 少女は、降谷たちが注文し終わってから入ってきた男を何分か観察すると自信有り気に笑った。まるで謎が解けたようにすっきりとした顔だ。

 警察を呼べという言葉に、少し狼狽えた。萩原と松田は違うようで、萩原はすぐに携帯電話を取り出した。松田は少女に耳を傾けていた。強い信頼関係が見える。少女の大人顔負けの観察眼と推理力、そして知識には舌を巻く。

 降谷の警察という言葉を聞かれてしまい、男が逃走しようとしていた。松田に続いてレストランの椅子を飛び越える。松田のパンチが男にもろに入る。入学してすぎに松田と殴り合いの喧嘩をしたが、あいつのパンチの威力は凄い。伸びている男に客や店員が驚いていたので、伊達が事情を説明する。萩原の通報により、すぐに警察が到着し男は逮捕された。

 席に座ったままの少女をちらりと見て、松田に視線をやった。


降谷「あの子は何者なんだ?とてもじゃないが、小学生とは思えない。」
松田「あー、あいつの親父から聞いたんだがギフテッドっつーやつらしい。」


 ギフテッド。一般的な人間と比較して先天的に顕著に高い知能性、精神性、共感的理解、洞察力、独創性、優れた記憶力を持つ人間を指す。アメリカ教育省は1993年に、「同世代の子供と比較して、突出した知性と精神性を兼ね備えた子供のことである。」と定義している。日本の文部科学省はギフテッドとは言わず、「特定分野に特異な才能のある児童生徒」と表記している。そのギフテッドは、目立つことを避けようと故意乃至無意識的に怠け者、優秀でない者、天然な性格を演じることで社会に溶け込もうとする傾向が報告されている。


松田「双子の兄も子供にしては頭が良いんだけどな。理世は異質なんだと。日本は異質を嫌う人間性だから、海外で教育を受けようって話も出たらしいんだが、あいつ頑なに日本に住むって首を縦に振らないって愚痴られたよ。」


 多民族で構成され、さまざまな価値観と触れ合う欧米諸国と違い、ほぼ単一の民族で構成され、比較的同質的な集団の中で育っていく日本では、思考や価値観が似たものとなり、そこから外れた異質な存在を排除する傾向にあるとされる。降谷も幼少期に容姿から虐められ、喧嘩による生傷が絶えなかった。彼女は日本人であるに関わらず、その頭脳により排除されることを両親は危惧したのだろう。

 それにしてもなぜ、少女は日本に住みたかったんだ。アメリカだったら飛び級の制度もあるし、実力主義だから彼女にとっては生きやすい国だったのではないだろうか。


 男が捕まり、事情聴取はまた後日となった。駆けつけた警察は少女の知り合いだったようで、「今日は指名手配犯か…」と言われていた。警察官とも知り合いができるほど事件に巻き込まれているのか。萩原たちが言っていたのは本当だったようだ。


諸伏「お手柄だったね、理世ちゃん。」
『いや、捕まえたのはじんぺーさんたちだし。彼らがいなかったら、未だに付き纏われていただろう。』
降谷「え…じゃあ、電話で言っていたっていうストーカーって」
『ああ、あの男だ。』


 そう断定する理世に諸伏と降谷は空いた口が塞がらなかった。彼女はストーカーがここまでついてくることを見越していたのか。ストーカーだという判断材料と証拠がなかったから捕まえられなかったが、入店してきた男が指名手配犯で、しかもそれが自分をストーカーしていた男だったからあの時笑っていたのだろう。ひとつの問題を解けたようにすっきりした顔をして。


『どこかで見た気がしたが、まさか指名手配犯だとは思わなかった。今度皮膚や血液のデータから祖先を突き止めることができるプログラムでも作ってみようかな。』
諸伏「え?」
降谷「まさか、君はその歳でプログラミングまでしてるのか!?」
『父に習ったんだ。今、どんなウイルスや有能なハッカーも弾き返すプログラムを作ってるんだ。まだ取り組んだばかりだから、完成までもう少しかかりそうなんだが…』


 ぶつぶつとこうしたほうがいいかも知れないと思考を巡らす姿に諸伏は感嘆の声を漏らす。


諸伏「本当にすごいんだな、君は。」
『え?』
諸伏「10歳でそんな研究までしているなんて、俺が君の歳ぐらいはゼロと外で遊び回っていたよ。」


 両親が亡くなり、東都に住んでいる親戚の家に引き取られた諸伏。事件のショックで失声症になり、転校しても馴染めなかったが、降谷との出会いで失声症も治り、事件のトラウマはありつつも楽しい幼少期を送った。


『こんな子供でも素直に認められるヒロにいの優しさと素直さもすごいと思うけどね。』
諸伏「え」
『私はただの趣味だよ。』


 そう笑うと、理世は萩原と松田のところへ駆けていった。萩原が理世を抱き上げる。楽しそうに笑う3人を見つめる。


降谷「もしかしたら、理世ちゃんが日本に残ったのは…」
諸伏「え?」


萩原「おーい、降谷ちゃん、諸伏ちゃん!ごはんできたってよ〜!!」


 降谷の言葉は指名手配犯を捕まえたためにお預けになっていた晩御飯の知らせにより続くことはなかった。警察学校に入校してから、首に縄が絡まり宙吊りになった教官を拳銃を使って助けたり、コンビニ強盗を捕まえたり、バンパーがひっかかった車を引き摺りながら暴走するトラックを止めたり、諸伏の両親を殺害した犯人を捕まえたりしたが、まさか指名手配犯まで捕まえることになると思わなかった。

 楽しそうに笑い食事をする5人に、この時間がいつまでも続くことを願わずにはいられなかった。

 まさか、この少女が諸伏の協力者になるとは降谷は夢にも思っていなかった。
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