03




〈「東都環状線に5つの爆弾を仕掛けた。その爆弾は午後4時を過ぎてから時速60km未満で走行した場合、爆発する。また、日没までに取り除かなかった場合も爆発する。」〉


 変声機で変えた声が電話越しから聞こえる。犯人はヒントを言うと一方的に電話を切った。理世を考えるように左手で唇を触る。松田は理世がこのポーズをするとあまり喋らないようにしていた。彼女は考えこむとあまり周りの声が聞こえなくなる。この愉快犯を捕まえるには、彼女の知恵が必要なのだ。


目暮「本庁の中に合同対策本部ができた。わしは東都鉄道の指令室に行く。」

『待ってください。目暮警部。』


 今まで静観していた理世が目暮を引き止める。


萩原「理世ちゃん何かわかったの?」

『ええ。爆弾の仕掛けられている場所は環状線の線路の間だ。』

目暮「なんだって!?」


『爆弾は何秒間か光が当たらないと爆発する仕掛けになっているんだろう。環状線の電車が爆弾の上を通過するとき、一車両20mと仮定すると10両で200m、時速60kmだと秒速16.7m。つまり200m走るのに12秒ほどかかることになる。』

コナン「そっか!そのギリギリ爆発しない時間が時速60kmで通過したときの時間なのか!!」

『犯人が、日没までに取り除かなかった場合も爆発すると言ったのはこのためだろう。』


目暮「じゃあ環状線を走行中の電車を他の線に移せば」

毛利「電車を止めても爆発しないってわけか!!」


 数少ない情報の中から推理し、自分よりも早い段階で解いてしまった理世にコナンは驚いた。すぐさま東都鉄道指令室に向かう目暮と毛利。目暮は萩原と松田に爆弾処理班の出動を命じた。ぞろぞろとコナンの病室から去っていく大人たち。松田は理世に「後でな」と言うと走っていってしまった。


阿笠「理世くんのおかげで、一安心じゃな」

『私が出しゃばらなくても新一だったらすぐに解けていただろう。
私はこの数日間爆薬を盗んだ犯人や最近の放火犯についてじんぺーさんと追っていたから。』

コナン「悔しいけど、今回は俺の負けだな」

『それにとてもおもしろいことが分かったのだよ。』

コナン「それって」

『新一、今回の環状線の爆弾の中に橋のところに爆弾が設置されているのがあったら、この数日間の放火犯がターゲットにしていた建物の共通点が見つかるだろう。そしてなぜ君が吹っ飛ばされた爆弾が止まったのかわかるはずだ。では私は目立ちたがり屋の兄ではないので、これで失礼するよ。』

コナン「はぁ!?お前知ってんなら教えろよ!!」


 そう言い残すと理世は病室を出て行ってしまった。目立ちたがり屋ってあんな堂々と推理しといて何言ってんだとコナンは思ったが、理世は新一と違い現場に行かずに推理するのが通常のスタイルだったことを思い出した。まるで安楽椅子探偵…。いやただ単に現場に行くのがめんどくさいだけか?


阿笠「理世くんのマイペース加減も相変わらずですじゃのう」

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