「結婚するなら?」

荒船「おい、紫苑。潔く決めろ。」
穂刈「だれがいい、この中で結婚するなら」


突然荒船からメッセージが入った昼下がりのことだった。「ラウンジで待ってる」の一文。紫苑の頭の中には"決闘"の2文字が過ぎる。しかし、紫苑は荒船に絶大な信頼を寄せていたため、弟弟子である太刀川慶のようにランク戦をいきなり申し込むなんてことはないだろうと結論づける。残念ながら、スマホ越しでは紫苑の副作用サイドエフェクトは役に立たない。結局良くわからないままラウンジに足を運んだ。ボックス席に紫苑と同い年、所謂18歳組がたむろしていた。


『は?』


犬飼「だーかーらー!結婚するなら俺たちの中だと誰がいいの?もちろん、俺だよね!?」

王子「いや、僕だね」

当真「俺を忘れちゃいけねぇぜ?」

水上「紫苑を幸せにするのは俺やで」

蔵内「テンション上がってるな、水上」

村上「はははっ」

北添「今日は賑やかだねぇ〜」

影浦「ハッ、くだらねぇぜ」


事の発端は、当真の一言だった。「やっぱり、紫苑が理想の嫁だよなぁ」その言葉に犬飼が怒り、一緒にいた荒船や穂刈、村上、近くにいた影浦と北添、王子と蔵内、そして水上を巻き込み、紫苑が1番誰を結婚相手にしたいかという話になったようだ。


『色々置いた上で聞いていい?お前ら暇なのか?』

犬飼「えー、そりゃ今日任務ないしね〜」

荒船「まあ、暇だな」

王子「僕らは夕方から防衛任務だけどね」

影浦「俺はランク戦に来たんだよ。そしたら当真のやつに捕まってよ」



水上「で?俺やろ?」

穂刈「俺だろ」



『その話に続くのか…』


見事に揃った同い年のボーダー隊員たちを見る。「俺を選ぶだろ」と自信満々な顔に苛立ちを感じる。


荒船「おい、そんな悩むか?俺の顔が好きだって言ってたじゃねぇか」

犬飼「え!なにそれ!」

北添「荒船くんかっこいいもんね〜」

『顔は好き。僕、面食いだし。』

犬飼「俺もイケメンじゃん!言われたことないんだけど〜!?」

荒船「おい!顔はってなんだ!」

村上「まあまあ落ち着けよ。」


『それよりも、なんで選択肢にお前らしかいないの?』

当真「そりゃ、このメンツに限定しとかなきゃ風間さんか奈良坂選ぶじゃねぇか」

『当たり前でしょ。その選択肢がないなら、鋼くんかゾエさんかな。』

犬飼「俺は!?」

『澄晴は、僕以外の人にも優しくしそうだし。』

「「「「ああ〜」」」」

影浦「自分だけとか言いながら、他の女にも優しくしそうだよな」

水上「最終的には浮気しそうやな〜」

蔵内「確かに」


犬飼「みんなひどくない!?」

穂刈「逆に聞くが、なんで北添と村上なんだ?」

王子「どちらも優しいのは一緒だよね、僕も優しいのになぁ」

水上「いやいや、優しい人は抱きつき様にスコーピオン刺さないで?」


『ん〜、ゾエさんは包容力が良いし浮気しなさそうだし、鋼くんは言わずもがなかな。』

北添「ゾエさんうれしいっ」

村上「紫苑に選ばれると嬉しいな。」


『最近は水上くんのギャップに萌えるんだよね』

水上「ぎゃっぷ?イコさんじゃなくて?」

『ほら、自分が不利にならなければノリに乗るところとか、癖者のくせにそれを悟らせないっていうかさぁ〜。こういう人が、腰に手回してきたり、優しくしてきたら、きゅんってくるよねぇ。あと浮気しなさそうだし』


水上「まって、よーわからんわ!!!」


影浦「浮気しなきゃいいのか?」

蔵内「案外乙女思考だよな」

犬飼「俺は浮気しないよ〜」

荒船「なんか不服だな」

穂刈「だな」

影浦「しゃーねー、このメンバーで紅白戦するか」

当真「おっ、いいねぇ」

犬飼「こうなったら、紫苑ちゃんの手作りごはんを賭けて勝負だ!!」


『どう、"こうなったら"なんだ?僕は作るなんて言ってないぞ!!』


影浦の言葉に盛り上がる同級生たちに怒りながら、チーム分けに参戦したのだった。
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