男の娘になりたくて 3

足を踏み入れたものの、早くも俺は後悔していた。
目に入って来るものはどこか怪しいものばかりで、ここは俺なんかが足を踏み入れてはいけない場所の気がする。

まず、俺の目に飛び込んで来たのは所謂アダルトショップと言われる店で、大きな看板にでかでかと『大人のおもちゃ』と直球で書いてある。
その隣はピンク映画を上映する映画館で、その向こうにはストリップ劇場や風俗絡みであろうバーや大人でピンクなアミューズメントストアなんかが立ち並んでいた。

「うわあ……」

うちの田舎にもポルノ映画を上映する映画館なんかがあったけど、そことはなんか格式と言うか歴史の重みのようなものが違う。
昭和レトロが香る町並みはそこらかしこにピンクの香りが漂っていて、ゲイバーやレズビアンのためのお店も目についた。


上京して、はや数ヶ月。
18歳になった3月3日に上京して来た俺は、昼間は声優の専門学校に通いながらいくつかのアルバイトを掛け持ちしている。
18歳になってアダルトなあれこれは解禁されたけど、本格的に18禁な画像や映像の視聴デビューを果たしたばかりの俺には少々刺激が強すぎる。

そう言えばこの辺りはハッテン場も多いんだよなあと人ごとのように思っていると、

「ねえ、君」
「ひゃっ!」

背後から不意に肩を叩かれて、思わず奇声を上げてしまった。

「危ないなあ。女の子が一人で裏通りなんかに入っちゃあ」
「あ…」

恐る恐る背後を振り返ると、そこには表通りで俺に声を掛けてきた君かわぅぃーねなチャラ男がいた。
表通りのキラキラネオンに比べると控えめで幾分か薄暗いけれど、ここらはピンクめいていかがわしい雰囲気だ。

「ね、俺が一緒にいてあげるからどっか入らない?」
「ひっ!」

腰を抱かれて耳に息を吹き掛けられた俺の視線の先には、いかがわしいホテルの入口も見えている。

「いや、俺…じゃなくてアタシは…」

咄嗟に口調を変え、まだまだ未熟ながら学校の授業で習った女声でそう答えた。
元々が男にしては高めの声だからか俺のファニーボイスは定評があって、声を変えることなんか朝飯前だ。

「いいじゃん。俺、優しくするよ?」
「え、ちょっと!」

尚もしつこく言い寄って来るチャラ男に強く腕を引かれ、そのまま裏通りの更に裏路地に連れ込まれてしまう。

「ちょっ、やめてください!」
「いいじゃん。僕と遊ぼうよ」

次の瞬間、俺の腰を抱いていた男の手が俺の短いスカートの中に潜り込んで来た。

Bkm
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