男の娘になりたくて 13

思えばとんでもなく濃い一日だった気がする。

「…ただいま」

あれから数十分、俺はなんとか無事に自分の部屋に帰り着いた。

俺が上京して一人暮らししている学生向けのマンスリーマンションは、少し手狭だけど設備が充実したワンルームで玄関から部屋中を見渡せる造りになっている。
靴を脱いだ俺はそのまま部屋の隅に引きっぱなしの万年床に倒れ込み、枕に顔を埋めて身悶えた。

「…犯られそうになっちゃった」

童貞喪失の危機ならぬ、処女喪失の危機ね。
あの時、橘さんが通り掛からなかったら、間違いなく俺は最後まで犯られていただろう。
何故だか暴走してチャラ男のモノをフェラしちゃったけど、尻穴に宛がった男の指に力が入った時は本気で怖かった。

「オナホ……」

それに、初めてアダルトグッズを使ってしまった。
別にそんなに興味があったわけじゃないけど、使ってみれば普通に気持ち良かった。
なのに、オナニーしてる時に頭に浮かんだのは今付き合っている彼女の顔じゃなく、男に突っ込まれてアヘッているゆずの顔だなんて俺はどうかしている。
白状してしまうと、やってる最中に一度も彼女のことを思い出さなかった。
普通はさ。
オナホを彼女のあそこだと思ってやるもんだろうに。

早く童貞を捨てなきゃな、とは強く思ってるけど。
困ったことに、彼女のことは大好きだけど、彼女を前にしても性欲が沸かない。
手土産に貰った試供品のオナホを手にしても、それは同じことだった。

彼女のアソコじゃなく、ゆずのおまんこだって思ってしまうなんてどうかしている。
俺ってば、言うまでもなく立派な変態じゃん。

そう言いつつ、

(――カチッ)

そのボディーを握り締め、作動し始めるとやばいくらいに興奮する。

「…ローション、どこに仕舞ったっけな」

一応は彼女とするために用意しているそれを探し、

「あ。あったあった」

一緒に仕舞った避妊具には見向きもしないでローションの封を切った。
中身をたっぷり注入し、

「あはあ…っ」

性急に腰を進める。

「あはっ、来たぁ!おちんちん来たぁ!」

やっぱり口をついて出て来たのはそんな台詞で、俺はゆずのまま今夜も自慰に溺れる。

「ああん…もっと突いてぇ…」

その夜は、ゆずの喘ぎ声と俺の手が止まることはなかった。

Bkm
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