男の娘になりたくて 12

「す、すみませんっ!」
「あ、いや。別にいいんだけどね」
「あの…これどうすれば」

ヒーローは後始末のしかたも教えてくれた。
なんか至れり尽くせりだ。

「あ、ね。よかったらこれにも答えてくれないかな」
「ん?なんですかこれ」

よく見るとそれはアンケート用紙で、どうやら新作はモニターに協力を仰いでいるらしかった。
さっき聞かれた使い心地の他にも、いろんな項目が並んでいる。

「いいですよ。助けて貰ったお礼と言ったらあれだけど」
「ありがとう。助かるよ…っと。そう言えば君、なんて名前なの?ゆず、じゃないよね?」
「わわ、それは…っ」

アンケートに答えながら、恥ずかしいけど、ゆずは女装した自分の名前だと告白する。

「へえ、たちばなゆずき君って言うんだ。漢字は柑橘系の橘に柚の木?」
「あ、いえ。立つ花の立花に卯月でゆづきって読ませるんですよ」
「へえ。変わってるね。じゃあ4月生まれなんだ?」
「それがですね…」

ゆずきって名前をつけたい母親が当て字で卯月にしたこと、実は雛祭りに当たる3月3日生まれだと言うことを告白すれば、

「へえ。じゃあ、もしかしたら弥生って名前になってたかも知れないんだ?」
「はい。実はまさにその通りで、父さんがなんとか阻止してくれたんですけど」

ヒーローは楽しそうに笑った。

「え、ヒーロー…じゃなくてお兄さんも立花なんですか?」
「そ。僕のは柑橘系の橘ね。漢字一文字の。橘薫って言うんだよ」
「橘かおる…」
「こいのぼりの歌を歌いながら、よくからかわれたなあ。かおるは草冠の薫ね」

名前の他にも年齢やら何やらいろいろ知りたかったけど、

「あ、ね。君、卯月君。うちでバイトしない?」
「え、バイトですか?!それはちょっと…」
「ああ、店舗に立つのは恥ずかしいかな。じゃあ、モニターアルバイトはどうだい?」
「モニターアルバイト?」

話はそっち方面に。

「うちに入荷した商品を試してアンケートに答えて貰ったら、現物支給と心ばかりで申し訳ないけどちょっとした謝礼をね。給料と呼ぶには少ないかも知れないけど」

詳しく聞いてみると、モニターアルバイトとは、新作を試して使い心地や使った感想をレポートに纏めたりアンケートに答える仕事だと言う。
アダルトグッズの他にコスプレ衣装の試着やビデオ作品の試聴も含まれるらしく、可愛い制服や体操着のコスプレ衣装の試着に強く惹かれてしまう。

とどめとばかりに、

「アナルグッズもたくさんあるから、是非ともお願いしたいな」

耳元で興味あるでしょと囁かれて、半ばパニクってしまった俺は思わず頷いてしまったのだった。

Bkm
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