3話



旧ロシア地区、新社会ネットワーク本部、廊下を歩いているのは、瀬莉とシオンの二人だけであった。何を話すでもなく、並んで歩く。
医務室の前に差しかかった時、タイミング良くそのドアが開いて瀬莉はぎょっとする。茶髪に、緑の隊服をまとい、左肩に赤いマークの入ったホルダーを吊った長身の青年がそこにいた。

「あっ、瀬莉ー!久しぶりー!!」
「昨日会っただろ」
「じゃあ昨日ぶりー!!」

青年は屈託ない笑顔を見せ、瀬莉の背中を右手で力強く叩いて笑って見せる。

「痛ぇよデイライト!!死ね!」
「瀬莉背骨折れた?折れた!?」
「黙れ。…つーかお前医務室になんか用事でもあったのか?」



お前殺しても死ななそうだよな!といい笑顔でいう瀬莉に負けじと笑顔でうん!と元気よく返した青年――デイライトは医務室のドアをちらりと見て「仲間のお見舞いだよ」と小さく言った。

「あぁ、昨日特攻も任務あったのか」
「そ。毎日毎日、人使い荒いってもんじゃないよね」


表情の硬くなったシオンに気付いたのかデイライトは冗談だよー、と笑った。


***


新社会ネットワークは、構成員、特別攻撃班(特攻)、総合始末班、工作員、医療班に分かれており、構成員を基本としてそれぞれの班に分かれている。最近活性化しているテロ組織を相手に殺人を行うという活動を行っているため、軍に追われる身となっているのだ。
その中でも瀬莉は構成員、デイライトは特攻という班に所属している。


***

「…デイライトさん」

デイライトと同じ特攻のホルダーを付けた小柄な少女が控えめにデイライトの服の裾を引っ張る。

「え、どうしたの?」
「…ヒトフタマルマルに班長さんの部屋に集合らしいです」
「えー、また?」
「ついさっき副班長さんから通達が来てましたよ」
「そっか、わざわざありがと」

じゃあ、と一言残して少女は恥ずかしげに去っていく。その背中を見つめて、デイライトはため息をついた。


「…瀬莉達は今日は休み?」
「おう」
「そっか、じゃ、オレもそろそろメシ食って行くわ」
「んー」
「瀬莉、冷たーい!!ま、いいや」

食堂の方に方向転換してデイライトは元気よく「じゃあまた夜になー!!」と言い残して去った。
「休みだからってパソコンばっかいじってると目悪くなるぞ!!」とも残して。




「あいつ…」

憎々しげに去っていく背中を睨んで、瀬莉は拗ねたように呟いた。


「…俺のは仕事だっつの」




おまけ/








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