世界は未完のまま終わる | ナノ


Long novel


 世界は未完のまま終わる
 ―想いに終わりなんて、ない。
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07


 再び執務室は静かになった。自分の机の上の大量の書類をぼんやりと眺める。標的になっているのは天使だけなのか。扉を閉じた影響で魔界のリウスとの通信も出来ない為、定期通信も止まってしまった。
「…プリム達、心配してるだろうな」
魔界はここのところ魔物の凶暴化が異常だと聞いている。となると人間界にも何かしらの危険が発生しているのだろうか。
「魔力の高い女性…か」
先に人間界へ送り出した少女―スィの事が気にかかった。普段は抑えているが、彼女も魔力の高い女性に該当する。しかもその魔力の開放の鍵となる天使の涙は人間が勝手に持ち出している。
「スィに知らせなきゃ」
万が一のこともある。何もなければそれに越したことはない。
「……それに内通者のことも」

確証はない。そうでなければいい。

複雑な表情を浮かべたエルは、スィに知らせる方法を考えつつ自室を後にした。


Section 08. End.





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