「うーん・・・っと、できたっ!」
「・・・?」
しばらくすると、名前が何やら嬉しそうに抱きしめてそう言った。
―横目で見たら、着物みたいだったけど。
「・・・喜んで、くれるかなー?」
「!?」
よ、喜んでくれ・・・って、誰!? 誰に、着物なんかやるんだ!?
―名前が持ってる着物・・・どう見ても、男物だった。
「・・・おい」
「ん? あ、起きたの?」
俺が起き上がって声をかけると、名前は嬉しそうな表情のまま、俺の方を向いた。
―その手には、大事そうに着物を抱えている。
「・・・それ、誰にやるんだ?」
「え? あ・・・こ、これは・・・!」
俺が“それ”と言うと、名前は慌てて着物を後ろに隠した。
―なんだよ、俺にばれると不味いものなのか?
「・・・なんで、隠すんだよ」
「え、えっと・・・(ど、どうしよ・・・蛇骨に、ばれた)」
「・・・」
俺が聞くと、名前はどもりながら視線を泳がせる。
―なんだよなんだよ・・・お前は、俺のもんじゃないのかよ?
お前、俺が告白した時―嬉しいって言ってくれたじゃねーか・・・あれ、嘘だったのかよ・・・?
「・・・もう、いい」
「え・・・?」
「・・・別れようぜ」
「! え・・・?」
俺がそういうと、名前はわけが分からないって顔で、俺を見た。
―俺は、こんなに愛してるのに・・・お前は、他の男に着物何か作るからだよ。
「・・・別れようって、言ったんだよ」
「何で・・・どうして!?」
どうしては、俺の台詞だ!って言おうとしたけど・・・。
―名前が泣いてたから・・・それ以上、言えなかった。
とか、思ってると・・・。
「・・・蛇骨の・・・蛇骨の馬鹿っ!」
「ぶっ!?」
そう叫んで、俺に背中に隠してた着物投げて―部屋を飛び出して行った。
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