「・・・何なんだよ、名前の奴・・・」
俺は投げつけられた着物を持ちながら、それを呆然と見ていた。
―すると、そこへ“鬼の様な形相”の大兄貴と、“飽きれた様な表情”の煉骨の兄貴と睡骨がやって来た。
「・・・蛇骨、てめぇ名前に何言いやがった・・・?」
「うぇ!?」
大兄貴は俺の方に来るなり、胸元を掴んで―鬼の様な形相のまま、低い声音で行った。
―こ、こえぇ・・・な、何? 何で、大兄貴こんな・・・マジギレしてんの?
「・・・答えろ、名前に何言いやがった・・・」
「・・・別れようって、言っただけだ」
「! てめぇ!」
「ぶっ!?」
俺がそういうと、大兄貴は―俺の顔を殴って来た・・・しかも、グーでだぜ?
―い、いてぇ・・・マジで、何で俺殴られてんの!?
とか思いながら、頬摩ってると―ため息混じりに、睡骨が口を開く。
「・・・蛇骨、何でんなこと言ったんだよ?」
「・・・だって、名前の奴が・・・こんなもの、作るから・・・」
俺が“こんなもの”って着物を持ち上げると、煉骨の兄貴はため息を吐いてから口を開く。
―何!? 何で、みんなため息吐くわけ!?
「あのな・・・蛇骨、おめぇが勘違いしているみてぇだから教えてやるがよ」
「え? 勘違い?」
俺がそういうと、煉骨の兄貴は頷いて続ける。
「あのな、その着物は」
煉骨の兄貴はそう言って、着物を指し―。
「・・・名前が、お前の為に作ったんだぞ」
「!? え・・・?」
お、俺の・・・為?
―俺の為に、名前が?
「名前が俺の所に来て―蛇骨に、着物あげたいから教えて―って言って、自分の力で作ったんだぜ」
「え・・・そんなこと、あいつ・・・一言も」
「名前は、出来上がったら俺に見せて―よかったら、お前にやるつもりだったんだよ」
「・・・」
それで・・・さっき、俺に見せないように隠してたのか・・・。
―どうしよう、俺・・・名前を、泣かせちまった・・・。
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