噂されてみた「手塚、昨日テレビでやっていたウィンブルドンの試合見た?」 「ああ。やはりトップクラスの選手から学ぶことは多い。」 「そうだね。それで取り入れてみたいメニューがあるんだけど…」 手塚と不二が練習メニューについて話し始める。2人の会話を聞いていたリョーマは何かを考える素振りを見せ、おもむろに手塚に近付いた。 「部長、」 「どうした越前。」 「部長って海外の大会とかよく見るんスか?」 「ああ、時間が許す限り見るようにしているが。」 「4、5年前のアメリカのジュニア大会見てないっスか?」 「4、5年前?見てないと思うが。」 「そっスか…」 「随分ピンポイントに聞くけど有名な試合だったの?」 「有名なのは有名なんスけど……」 「ねえ、何か隠していない?越前。」 珍しく歯切れが悪いリョーマを不二が指摘する。手塚もその様子に気付いたようで、「話せ。」と言いたげな目だ。2人に促されたリョーマは観念したように口を開いた。 「…探してるヤツがいるんス。」 「探してるヤツ?」 「4、5年前にアメリカのジュニア大会で優勝したヤツで…」 「名前は?」 「…知らないっス。」 「日本に居るのか?」 「…知らないっス。」 「情報無し、か。珍しく人探しなんてしてるかと思えば…」 「名前は忘れたんスけど、でも顔は覚えてるんで会えば分かるっス。」 「会えば、ね。」 「……」 「ちょいとお前たち集まっておくれー!」 竜崎先生の声が上がる。一旦話は置いておき、顧問の元に駆け寄ろうと振り向けば、声を上げずにはいられなかった。 「あ、アンタ!」 「キミっ!」 「空…?」 --------------------------- 「何だい?越前も不二も手塚も知り合いかい?」 『そのようでー。』 「まあ、改めて紹介するけど、この子は虹未来空。あんた達、相手してあげな!」 「「「なっ!?」」」 『にゃ?』 |