明かされてみた虹未来の家系は少し特殊で、生まれながらに強い霊力を持っていた。それで大御神神社の神主を任され、先祖代々神に仕えてきたわけだ。歴代でも俺の力は指折りで、今も神主継続記録を更新中。 「で、愛しの空ちゃんの話。」 俺の愚息が全く力を持たなかった反動なのか、我が孫の霊力は飛び抜けてた。質としては俺に劣るが、量だけ見れば大御神神社の創始者である初代と同等、もしくはそれ以上。神々から神殿守(かむとのもり)を任されたくらいだ。 「あの、」 「何だ?」 「神殿守って…?」 「読んで字の如く、神の殿を守る者だ。まあ簡単に言えば神のボディーガードってとこか。神々が自らの命を預けるわけだから空ちゃんは信頼に値する者って認められたんだよ。」 あれほどの霊力、普通は保有者の魂が耐えきれない筈なんだが、空ちゃんって自由奔放だろ?雲みてーに柔軟な魂のおかげで問題なかったんだ。…ある時まではな。 「ある時、っスか?」 「空ちゃんの両親が死んだんだ。」 「っ…」 「交通事故で2人共な。」 空ちゃんは俺が引き取ることになったが、すっかり無表情になってた。笑顔なんてもう何年も見てねーな。そんなんで心が無傷なわけない。空ちゃんの魂は霊力に圧され始めたんだ。 「なんとか霊力を留めてるが、すっげえエネルギー使ってんだよ。それで睡眠が必要ってわけ。」 「魂が霊力に負けたら…」 「死ぬ、な。」 「死っ!?」 「だから死なねーように寝てんだよ。あと食事でもエネルギー不足を補ってる。空ちゃんって大食いだろ?あれも生きるためだ。」 「そうだったんじゃな…」 「まあ、でも俺はまた空ちゃんの笑顔が見れるって信じてるけどな。」 愛しの孫のためなら何でもするのがじいちゃんってもんだろ。 「空ちゃんを頼んだぜ、若造達。」 --------------------------- 「…なんか若造って言われるの、すっげえ違和感ある。」 「安心せえ、赤也。俺もナリ。」 「ククッ、確かにな。」 「(本当は何歳なんだろう…)」 |