復活してみた『んにゃー…』 《目覚めたか。》 『ふあー、よく寝たっす。』 ここのところ寝不足だったせいでいくらでも眠れる。猫のように体を伸ばすと意識も覚醒してきた。 《神司(かむづかさ)が呼んでおるぞ。》 『じさまが?』 《迎えの童子らが待っている、と。》 『迎え…』 《名残惜しいことよ。》 稲荷様が顔を寄せてきたから、御好意に甘えて毛並みに顔をうずめた。ふわふわー。 《あまり無茶をするでないぞ。何かあらば私を呼べ。良いな?》 『うぃ。』 《さらばだ、神殿守。また何時でも帰って来るが良い。》 * * * 「来たぜ。」 辺りを見回すと、小走りで近付いてくる空が目に入った。 『先輩方、どうして此処にー?』 「ちいと散歩してたら通りかかっての。」 「あ、あれだ!ロードワークついでにお参りしようと思ったんだよ!」 『む?』 「まあ、取り敢えず偶然ってこと。偶々居合わせたんだ。」 『んー?』 「ククッ…偶然、か。いい奴ら見つけたな、空ちゃん。」 『じさま?』 「空、帰ろうぜ!」 「急がんと暗くなるきに。」 『う、うぃっす。』 「急に押し掛けてすみません。お邪魔しました。」 「気にすんな。そのマイペースな猫、頼んだぜ。」 「はい。」 『?』 「じゃあな、愛しの空ちゃん。」 赤也に引っ張られてる空は疑問符を浮かべながらも手を振る。じさまーまたねー、と。 「…次会う時は笑ってくれよ。」 俺は後ろから聞こえた微かな、そして切実な声を耳に焼き付けながら歩き出した。 --------------------------- 「空、お腹空いてない?」 『そういえば胃が空っぽっす。ぐー。』 「何か美味しいもの食べてから帰ろうよ。せっかく此処まで来たんだし。」 「賛成ッス!」 「プリッ。」 「決まりだね。行くよ、空。」 『うぃ。』 |