心配されてみた「…おじいさん?」 「ああ、空ちゃんのな。」 「えぇー!!嘘だろ!?」 「お、いいリアクションしてくれるじゃん。」 「だってアンタいくつだよ!どう見ても俺らとあんま変わんねーだろ!」 「俺もそう思うきに。」 「ククッ、そりゃ嬉しいねえ。アンチエイジング効果抜群だな。」 「アンチエイジング!?」 「そ。この大御神神社は八百万の神々が集まる場所なんだよ。それで聖気が充満してて、俺の若さも保たれてるってわけだ。」 「なんか…お伽話みたいですね。」 「まあな。だけど事実、俺は正真正銘空ちゃんの祖父だ。」 とても信じ難い話だが、こんな冗談を言う筈は無いだろう。ひとしきり驚いた後、俺はずっと気になっていたことを尋ねた。 「あの、」 「ん?」 「空は大丈夫なんですか?」 「俺も気になってたんじゃ。」 「なんだ。知ってたのか。」 「空に直接聞いたわけじゃないんですが…」 「ずっと姿見掛けなかったし。」 「ま、空ちゃんのことだ。わざわざ不安の種を撒くわけないな。」 「空…」 「傷は粗方治した。あとは神々が癒やしてくれるさ。」 「聖気、じゃろ?」 「御名答。」 ニッと笑った彼は神社の奥に目をやる。 「今、 空ちゃんは鎮守の森の最奥に居る。 」 「ちんじゅ…?」 「常世(とこよ)と現世(うつしよ)の境界だ。神代(かみしろ)、つまり神の化身とも言われる。」 「どうしてそんな場所に?」 「そこには最古の御神木があって、1番聖気が満ちてる。おそらく空の身を案じた稲荷様あたりが連れてったんだろ。」 「稲荷様って…」 「狐の姿した神様だ。」 …今日は驚くことばかりだ。 --------------------------- 「取り敢えず入れよ。茶くらい出してやる。」 「あ、はい。」 「お、お邪魔しまーす…」 「(凄い所に来てしまったんじゃな。)」 |