なな




コアルヒーが近寄ろうと一歩慎重に歩み出た。



「こないで。もう、こないで近寄らないで。触らないで。触らないで・・・っ」


「自分の手持ちに対してその言葉はないと思いますよ」

いつからそこにいたのだろうか。

コアルヒーが食べていた餌の器の前に片目を隠した青い髪の青年が眉間に皺を寄せてたっていた。サンヨウジムリーダーの一人、コーンだ。

「といっても無理やりポケモンを奪う人なのですから、そんな気持ち持ち合わせてないでしょうが」

見下すその笑みは、つかさの胸を深く抉る。

記憶に残る同じ団員達が影で嗤い、根も葉もない噂を口にしてはつかさを悪く言う。違う、と飛び出せば『ゲーチス様の期待にこたえられなかったくせに』と嗤う。

それらの嗤いと目の前のコーンの失笑が深く重なる。


嫌な記憶に首を絞められていくつかさは、頭を抱えてしゃがみこんでしまう。

「、どうしましたか」

まさか頭を抱えてしゃがみこむとは思ってもいなかったコーンはつかさへと近づいた。肩を揺らすもつかさは髪を強く握り首を左右に振るばかり。いじめすぎかた、とついには完全に心配さえしてしまい「顔をあげるのですっ」と声を荒げそうになった。


「コーン、彼女どうかしたのかいっ?」

そこへ腹をさすり降りてきたデントもコーンに身体を強く揺すられながらも頑なに首を振り続ける異常に焦り近寄ってくる。

「・・・コーンが言い過ぎたのかこのように頭を抱え始めてしまったのです」

コーンはきつい事を言うときがある。三つ子といえど生まれた時間的には彼が一番上、長男である。それゆえに厳しい態度をとる一面がありつかさにとってその言葉はかなりこたえたのだろう。


まさにその通りで、つかさは言葉と笑いで触発され鮮明に思い出された過去の記憶に対抗するのに精一杯で彼らに答えなられなかった。



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