ONE PIECE [LC] | ナノ


戦利品は子供たちで間いありません

はっきり言って目を疑ったよい。

島に立ち寄ったのは他でもない「死ぬほど強い賞金稼ぎが居る」って聞いたからだった。
これは白ひげの船と知って襲撃して来たヤツからの情報で「てめェらなんかあいつに狩られちまえ」って去り際に捨て台詞吐いたもんだから、もう一回引っ張り上げて洗いざらい話してもらったよい。その後は海に捨てたけど。

この島の近くには小さな島が点々とあった。小さな船でも行き来出来るくらいの距離で目視も可能、ログを気にすることなく渡れて定期船も出てる。割と物資に困らない活気ある島の集合体。そんな島の何処かを拠点として「賞金稼ぎ」をしてるヤツが居た。
狙うは手配書にある小物から5000万ベリーものルーキーまで。盗賊、山賊、海賊問わず賞金首のみ狙う。逃げられた獲物はない、とか。まァこれはあくまで噂に過ぎねェが、ただそう言われる理由としてその賞金稼ぎの実態を知る者は居ない。これは面白いだろい。


「さて、賞金首の諸君」
「お前も相当な賞金首じゃなかったかマルコ」
「黙れ、私語厳禁だよい」

一応、島に停泊して一日待ったが奇襲されることはないことから作戦に取り掛かろうと招集を掛けたのは暇そうな隊長たちだ。
他の隊員には物資の補給を頼んだから勧誘はおれらの仕事になっただけなんだが。

「例の賞金稼ぎの勧誘について。首の諸君には各島をブラブラして狙われて戦って引っ張って来てもらうよい」
「......死体でいいのか?」
「生きてる方が好ましい。とはいえ狙われたら結構危険だ。心して行くがいいよい」

ホシは確実に島に居る。狙われるのは賞金首、そうなったらウチにはそういうのがゴロゴロと言わず居る。
ただ額が億を越えてるのと「白ひげ」っていうので狙って来るかは分からないが欲があれば狙って来ると踏んでる。もしくは、同じように停泊してる海賊も確認済みでホシが狙うくらいの額のヤツも居た。戦闘してるヤツが居ればそいつの可能性もある。ある程度の見極めをして戦闘が済んだら声を掛ければいい。交渉はそこからする。まァ、そんな段取りだ。

「因みにマルコはどうすんだ?」
「おれは此処に残って奇襲を防ぐ。とりあえずお前らだけ行け。単体行動だ。死ぬな。絶対連れて来い。以上解散!」
「......色々矛盾してるぞ」
「言うなサッチ。ヤラれるぞ髪」

さっさと言うこと聞いて行けよい。

「あァ...日没までには戻れよい。情報無いヤツは飯抜くが」
「......」

今一つ乗り気じゃないヤツばかりだが、実際そいつに会えば嫌でも何とかなる。というより何とかしないなら締め上げる。
そんなことを考えつつもブツブツ文句言ってるヤツらを無視して送り出したんだが...
日没前、続々と手ぶらで帰って来た隊長たちの中で唯一、へらへらしたエースが妙なものを持ち帰って来た。


「......」
「......」


「エースよい」
「おう」
「子供だな」
「おう、子供だった」

小脇に抱えた二人の幼子、それを追ってやって来た子供...とはいえ10代半ばくらいだろう。随分とまァ小汚ねェ。幼子二人は何とか見れはするんだが子供、おめェはそれでいいのかよ、と言いたくなるような姿だねい。適当すぎるボロボロの服、ボサボサした中途半端な茶髪、前髪はかなり伸びて...けどイイ目してる。おれらを目の前にガン飛ばしてるよい。

って、どのみちおれらからすればどれもこれも子供でエースがやったことは完全に誘拐、人攫い、変態行動で犯罪だろい。

「誰が子供拾って来いって言ったかい」
「......マルコ」
「おれかい!んなこと言ってねェだろい!」
「でもこの辺で有名な賞金稼ぎ連れて来いって...」
「だから、てめェが連れて来たのはガキだ!」


だけど、おれが間違ってた。



(47/67)
[ 戻る付箋 ]

「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -